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695 難題:ソフトバンクは二年以内(2009年度末まで)に第二世代を停波する義務がある件

驚くべき事に(知らなかった人には)、ソフトバンクの第二世代携帯は「2009年度末まで停波」させる必要があった、という件についての記事です。


形式上は以下の記事の続きです:

解説:1.5Ghz帯が3.9世代/LTE/Super3G用帯域に再割り当ての件
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/04/696_15ghz39ltes_96e4.html


◆二年切っておりまして「450万人」

前に書いた記事にて書いたところによりますと、ソフトバンクの第二世代携帯が使っている「電波の免許」は2009年度末で切れてしまいます。

つまり、2009年度末(2010/3/31)までには、「ソフトバンクの第二世代は完全終了しました」ということにしなければならないということです。免許的にはそうなっているということです。

現在、2008年度が始まったところです。つまり、もう二年を切ってしまっているという事です。

そして、ソフトバンクの第二世代を利用している人は、「まだ450万人以上」も居るそうです。

ソフトバンクの利用者は現時点で1800万人くらいです。つまり「ソフトバンクの利用者の四人に一人は、まだ第二世代を使っている」のが現状です。


◆450万人を24ヶ月で割り算してはいけません

残り450万人で残りおよそ24ヶ月ですから、単純に割ると「19万人弱/月」ということになります。

そして現在の第三世代への移行ペースは、この数値よりも上になっています。しかし、だからといって大丈夫ということにはなりません。移行ペースは最終的には鈍ってゆくものだからです。

最終的には梃子でも動こうとしないユーザが残ります。あるいは、計算ずくで「移行せずに居座ってごねる」客すら存在します。こういうユーザを処理して移行させるにはお金がかかってしまいます(少なくとも対応をする人員の人件費はかかってしまいます)。

移行しないお客の気持ちも解らなくはありません。

『私はJ-Phoneがとても好きで契約しました、そして端末をずっと大事に使っています。これまで電話会社が勝手に代わったりしてとても迷惑しました。ドコモを使っている友人にはそんな無茶苦茶な事は無かった。その上、今度は電話を変えろというのはどういうことですか。そちらの勝手な都合で我々に関係があるのですか?素人に難しい話をして誤魔化そうとしてもそんなことは私は知りません。私はこの電話を契約する時に、2009年度末までしか使えないという説明を聞いていません。引き続きこれで使えるようにしなさい。』

あるいは、

『巻き取りがあるらしいので、親がほったらかしにしてた古い端末があったのを思い出して、回線ごと譲ってもらった。あともう少しこの端末のまま粘っていれば、ソフトバンクが泣きを入れてくるはずだ。そうなれば、一番高い端末を無料でゲットできるだろうから、それまで粘ろう。それまでは何を言われても移行しない。「元が取れない」からね。』

第二世代の回線をわざわざ探してきて、利益を得ようとする人すら居るだろうということです。

このように移行にはお金(現金)がかかりますが、ソフトバンクにはつらい話です。

また、ホワイトプランの影響で第三世代の帯域には余裕がありません。現時点ですでに混雑気味です。

二年間で移行ユーザの450万人を追加収容するというのは大変な話です。四分の一のユーザが移行してくるとなると、それだけで現在の1.33倍のユーザを収容しなければならなくなるからです。

何らかの方法で設備を増強して対応するにもお金がかかってしまいますし、増強の効果が出るまでタイムラグもあります。

これは面倒な状況です。

◆ただし今回は「無理」は出来る

巻き取りは(例えば「基地局4万6000局」よりは)、無茶な計画をしやすい作業です。

ですから可能性としては、「二年後どころかもっと早期に巻き取ってしまう」ということも考えられます。4万6000局は常識的に考えて無理な計画でしたが、例えば「2008年度中に全部巻き取って停波する」というのはもしかしたら可能です(そんな事をする理由は思いつきませんが)。


◆巻き取らない方法を考える

面倒な状況であることには違いないわけですが、普通に巻き取る事を諦めてしまうと、以下のようなとんでもない事も出来なくはありません(以下、子供の発想ですが)、


・免許切れに便乗して低コストで第二世代の整理をする

2009年度末の時点でも、無視できない数の第二世代ユーザが残っているにもかかわらず、無理矢理停波しましょう。

普通は、移行しないユーザを何とか移行させようとして苦労をして、それでも残ったごく少数のユーザについては仕方なくそのまま停波としますが、そこまでせずに停波してしまいましょう。

停波すれば、第二世代の設備の維持費がかからなくなります。免許が切れることを口実にして「早期に第二世代を強行処理をする」口実にしてしまえば、大きな支出になるところか、逆にお金の節約をするチャンスです。

発生する混乱の責任は、「悪質」ユーザと国にかぶせることが出来ます。


・停波を延期し、他社の次世代計画を混乱させる

社長は言います。2009年末に停波するとなるとユーザが可哀相である。ドコモは2012年まで第二世代が使えるじゃありませんか。当社はそもそも第三世代のスタートが一番遅かったのに、ドコモよりも第二世代終了が早いなんて、ユーザが可哀相です。ドコモより遅くてもいいくらいだ。

免許なしでの帯域の占拠状態になるのか、免許が延長されるのかはともかく、約束の日になっても停波は行われません。

結果、ソフトバンクが停波するまで1.5GHz帯は塩漬けになってしまいます。ソフトバンクは1.5GHz帯の再割り当て時期をコントロールできる状態となります。

同じく、帯域の追加割り当てをしてもらわないと停波出来ません、と言い張ることも出来るかもしれません(これは「ソフトバンク自身に1.5GHz帯をLTE用として再割り当てすれば解決する」、と言い張る場合も含みます)。


◆ありえないことはありえる

普通に考えてあり得ない事が実際に実行される事はこれまで何回かありました。

(失敗しましたが)800MHz帯の割り当て要求もそうでしょうし、ボーダフォンの電撃的買収もありえないことでした。新規参入直後の買収自体ありえませんし、そもそもボーダフォンを買収するという事自体が、ありえない事でした。

もし仮に、ソフトバンクにとって第二世代を免許切れまでに巻き取る作業がかなりの負担になるのであれば、何か予想しない事をなさる事もあるのではないかと思っています。

たとえば、停波が延期される事態。


◆またそもそも

またそもそも、孫社長は第三世代への移行を前倒ししたのではないかと言われていてこの状態ですから(ただし、第三世代への移行そのものは基本的にボーダフォン時代に立てられていた計画に沿っているだけで、孫社長は手柄を横取りしているだけという話も聞きますが)、もし買収がなされなかった場合にはどうなっていたのだろうと思ったりする次第です。

例えば、

平行世界:
・買収されずボーダフォンのまま(評判も「ボーダフォン」のまま)
・2009年度末に、免許切れにもかかわらず停波できないという前代未聞の事件発生
・その謝罪会見をする社長もやっぱりボーダフォンの社長

これは・・・相当大変な事になった気がしますね。

ただしもちろん、

現実の未来:
・2009年度末に、免許切れにもかかわらず停波しない

これもありえますけれども。そして、そのようにする理屈もあると思いますけれども。

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コメント

なかなか、面白い話とは思いますが、ソフトバンクは1.5GHzの免許の期限が2010年3月までと決まる前に1.5GHz再割当を審議する総務省の審議会に、2Gの1.5GHzは2010年3月までは使いたいと回答して、その通りに免許の期限が決まったようです。ソフトバンクとしては、できるだけ長くこの帯域を使い続けたいと思えば、ドコモと同じように2012年、あるいは3G化率が低いことを考慮すれば、もう1、2年引っ張れたもしれない。それを2010年に設定したのは、かなり3G化を急いだと思われます。想像ですが、返納した1.5GHz帯を、そのまま3Gとして再割当してもらいたいんじゃないですか。下の記事にありますけど、この帯域はLTEで使うと言う話も最近でてきました。ソフトバンクとしては、これが3G用に確保できれば、従来の2Gの基地局がそのまま使えて、電波の帯域も広くなり、2GHzよりはましな周波数を手に入れることになります。

投稿: | 2008/04/14 16:13

> 2010年3月までは使いたいと回答

ただ、孫さんは「2006年度中に基地局の数でドコモを追い抜く」(4万6000基地局の達成を宣言)という発言も似たような時期にしていないでしょうか?こちらは世間に向けた明確なコミットでしたが、実質的には2008年度になった現時点ですら目標達成に程遠い状況です。

この件については、計画が無謀で無意味でした。達成する必要の無い目標だったと思います。

というわけで同じく、孫社長のその当時の意図如何によらず、2010年3月までに完全巻き取りがなされるのかどうかはよく解らないと私は思います。その必要があるかどうかについても同様の感想です。

投稿: ブログ主 | 2008/04/15 01:14

1月15日で2Gの新スーパーボーナス受付を終了していますが、考えてみると最悪2010年3月11日になるまではこの割賦金縛りと特別割引の残っている契約者がいるという事になります。
とすると 巻取りを行うのであればソフトバンク側が割賦金の免除を行う&特別割引分の還元をしてあげなければ(特に一括払いした契約者に対して)、
期限間近まで相当の契約者が残るのではないかという気がします。
あとは、約120万の2Gプリペイド契約者のうち残留した分の移行先。さすがにプリモバイルへ変更できるようになると思われますが…

投稿: 匿名(まだ仮) | 2008/04/17 02:26

> 最悪2010年3月11日になるまで、第二世代のスパボ縛りが残る

それは面白いですね。

感覚的になのですが、本当に巻き取りのこと計画してるんだろうか、と思えているのですが、その話もまさしくそういう風に思いました。

このネタでごく短い記事にしちゃおうかな?

投稿: ブログ主 | 2008/04/17 06:41

まだまだ使える携帯なのに、そちらの理由で変えざるを得ない状況なのにも関わらず、解約するのにも解約月でないから、手数料だとか、おかしな話だ!
解約月まで待ちたくても、終了になって待てないのに、何でお金払ってまで解約しなくちゃいけないのか分からない!払う理由が分からない!

投稿: | 2009/12/01 00:05

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