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712 次世代PHSの特徴:次世代PHSがモバイルWiMAXと同じだなんてとんでもない(はず)

久しぶりに次世代PHSについての私の感想を書いてみたいと思います。

あんまり記事にできるほど確たる意見でもないのは申し訳ないですが。

◆まえおき

次世代PHSってどうなの?というあたりについて、前から思っていた事を投稿してみたいと思います。実のところ、これまでの記事は「そういう風に考えつつ」投稿していたので、実は前から同じ内容で書かれてはいるのですが。

その前にまず、誤解の無いように念を押しておきます。

毎回になりますが、私はモバイルWiMAXの意味不明なブームについては変じゃないかと思っていて、そういう記事を書いています。特に、ブームだからブームだ、とか、日本は世界に遅れちゃうよー、とか、鎖国がどうだとか言う意見を言うための枕にされているようなパターンでの言われ方についてはとても疑問があります。

モバイルWiMAXバブルについては変だと思っていますが、モバイルWiMAXそのものの全否定をしているつもりは無いのでご注意ください。

なお、モバイルWiMAXが実際にものすごく優れた技術であるというソースがあるのならば、あっさり改心します。ただし、自分で探した限りでは難儀な情報しかないのですが。

もう一つ補足。

次世代PHSについても、私は不安と期待半々です。前にも書いたとおり私は最初は、ウィルコムがモバイルWiMAXを採用するべきではないかと考えていた事すらあります。礼賛しているわけではありません。ただ、正直なところ、モバイルWiMAXには不安だけを感じ、次世代PHSには「大きな」不安と同時に希望も感じます。そこは違います。

◆モバイルWiMAXと同じという意見

次世代PHSには色々な人が批判をしていますが、どうも変な意見が大半に思えます。そりゃそうだな、と思ったら今の意見も変えるつもりなのですが(もともと上に書いたようなこともありますので)、どうにも納得できる話がありません。

世界標準という抽象概念そのものを崇拝している人や、PHSのような格の低いものは・・という思考回路による人、単に日本の悪口を言いたいだけの人、これらは次世代PHSの事実認識ではなく、発言者の内面に問題がありますのでどうしようもないです。でもこの手の批判?はなぜか多いように思います。

また、ウィルコム関係だけで開発している技術で大丈夫なの?という意見もあります。これについては、私も同じ心配をしていることは過去に書いているとおりです。しかしながら、それは利点でもあるということも書きました。本当に優れた規格が委員会などから生まれる事はそもそも稀有ですし、この点でモバイルWiMAXには付け入る隙が山のようにあります。

もう一つは、モバイルWiMAXと何が違うんですか?という意見があります。人によっては、モバイルWiMAXと事実上同一の技術とまで言って文句を言っているも居ます。今回はこれについての私の意見です。

#注意:私の意見がどの程度正しいのかについては私も解らない

◆似ている点と、決定的に違う点

私も最初の最初は、モバイルWiMAXをそのまま採用した方がいいのではないかと思っていました。次に思ったのは、次世代PHSの規格は実はモバイルWiMAXをちょっとだけ改変しただけのものではないかという心配でした。次世代PHSはモバイルWiMAXに合流すべきであると言う意見を目にした事もあって、これも同じ認識からではないかと思いました。

似ているのかと言われれば、ものすごく似ている点があるように思います。

次世代PHSは信号を電波に乗せる方法などの一番土台?な部分において、モバイルWiMAXと事実上同一、あるいは似ているようです。つまり、その部分においては「同じじゃないか」という指摘は当たっていると思います。

そして、この事実だけによって「モバイルWiMAXと同一の技術に過ぎない」と言っている人が居ます。ですがこの指摘は極端に言うと、変調方式に同じQPSKを使っているからPDC(第二世代携帯)とPHSは同一の技術だと言っているようにも思えます。

また、次世代PHSを名乗っているけれども、PHSの面影なんてどこにもないという意見もあるようです。これも間違いでしょう。次世代PHSは明らかにPHSの子孫に思えます。

私の理解する限りにおいてですが、むしろ逆にあまりに似ていてがっかりするくらい、次世代PHSは現行PHSをそのまま踏襲しているはずです。基地局と端末がどのように通信するか、どうやってマイクロセル化するか、帯域をどうやって端末に割り当ててゆくかなど。上下の通信を時分割する時間の幅まで従来と同じはずです。

ただし基本的に現行PHSのままでありつつも全く同じということではなく、現行PHSでの一部反省点(こういう規格にしていればこんなに苦労しなかった)については取り込まれているようですが。

私のイメージとしては

・モバイルWiMAXの土台だけをそのまま借りて
・その上にそのままPHSを再構築し
・PHS10年の反省点を省みて一部修正を施した

以上のようなものが次世代PHSなのではないかなあと思っています(間違っていたら指摘をお願いします)。

良く言われる批判については、土台部分だけしか理解していないからに思えます。あるいはPHSと携帯電話との差異が何であるかわかっていないので、そういう感想になるのだと思います。

私としてはむしろ、PHSそのままで大丈夫ですか?という方が気になります。同じ仕組みを別の状況に適用して大丈夫なんだろうかとか、PHSが持っている問題点は改良されるのだろうかとか思います。ただし、こちらのツッコミは見た事が無いです。しかし、その反対の心配を解消してくれるような情報も見た事は無いのですが。

◆違うものに思える

土台が同じならモバイルWiMAXに合流してしまえとか、合流してモバイルWiMAXの一種になってしまった方がよいのではないか、と思っていた人もいるようですし、実は私もそのように思った事もありました。

ですが、次世代PHSにとって重要なのは「その上にそのままPHSを再構築し」の方なので、合流しても大事な部分が共有されるわけでは無いように思えます。土台部分は利用しているだけで、その部分自身には強い興味は無いはずです。モバイルWiMAXで必死になっている部分については、「そこはむしろもっと簡単な方が良いと思ってるんで」ということになるように思います。

また、PHSは引き算の発想で、モバイルWiMAXは足せるものは全部足してしまう発想に思えます。しかもモバイルWiMAXは企業同士が自身の利権拡大を巡って駆け引きをしながら「足す競争」を行っています。

モバイルWiMAXは鬼のように電波を飛ばせノイズは信号で吹き飛ばせデータを詰め込み倒せ、という印象があります。元が無線LANの魔改造だからなのでしょうけど。一方でPHSは余計な電波を飛ばしません。何しろ圏外になった端末は自発的に電波を飛ばそうとしないくらいです。基地局から何も言われなければ、端末はじっと黙って基地局からの声が聞こえるまで聞き耳を立てているだけです。容易にマイクロセルにできるのも、余計な電波を飛ばさないので通常は発生するはずの干渉が発生しないためです。

モバイルWiMAXは最初に想定されるイメージが基地局一つと端末の世界で、とにかく互いに電波を飛ばしたくてしょうがない騒々しい状況。次世代PHSは最初のイメージから基地局の集団と(複数の)端末がイメージされ、電波は最小限にしか飛ばさない静かな集団戦闘。

土台は同じなのに、ステーキとコーラとピザを食っている人間と、お茶漬けを食っている人間くらい何か印象が違うような気がします。

土台が似ていながら別のものであるので、ウィルコムが言っているようにモバイルWiMAXのハードウェアの量産効果を次世代PHSが利用する事もできるし、両対応のハードウェアも作りやすいかもしれない、しかも、出来上がるものは全然違う、ということなの「かも」しれません。

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