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711 考察:ソニーは「ドコモから撤退しません」と強調しなければならない理由と、SO705iの正体

先日、日経から「ソニーがドコモ向け携帯から撤退する」と報じられ、しかしすぐにソニーが「撤退はしません」と発表を行うということがありました。記事にもしました。

三菱に続いて、ソニーもドコモから実質的に?撤退
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/03/post_94f9.html

結局、
・撤退はしない
・撤退はしないが、ソニーの独自開発は止めるらしい(OEM)
という話に落ち着いた感じになりました。


◆異論を考えてみた

この件については、携帯は儲からないんだなとか、三菱や三洋と比べて事業の頓挫の一つとして捉えられているように思います。まあ実際、ドコモ向けに携帯を自社で作って売ってしっかりと儲かるのなら、今までどおりに開発と生産が続けられていたはずです。方針を変更する理由がありませんからね。

ですが、どうも引っかかることがありました。前の記事のコメント欄にも書いて頂いていますが、最後のソニー開発のソニー機になるのではないかと思われる「SO905i」と同じく発売されている「SO705i」が既に「NECのOEM」である点です。

当時特に705iシリーズは気にしていなかったのですが、そういえばドコモの新機種が発表される時期あたりで「おいおいソニーじゃないぞ」とか言って騒いでいた人が居たことを思い出しました。その時点のSO705iの理解のされ方は、「705だからって手を抜きましたねソニー」という感じのものだったように思います。

そりゃそうです。ソニーの端末を買うつもりの人に他社の使いまわし(に思えるもの)を出してきたわけで、ファンにしてみれば嬉しい話ではないのでしょう。

ですから、この話が出てきた直後はこういう方針になったのだと想像されていました。
・ソニーはハイエンドは自社開発する
・ローエンドは他社に作らせる
しかし後述するとおり、この方針は少し変です。

また、もうひとつ気になったのは、伝聞で(ですから大間違いかもしれませんが)「SO905iはソニーの良作」という話を聞いていることです。思い出してきましたが、SO905iは出来が良くて嬉しい、しかし一方でSO705iはNECの使いまわしに凋落しているという話。しかし、SO705iはNECの使いまわしにしては結構ソニーになっていて感心はする、というような話。

以上伝聞ではあるわけですが無理矢理まとめてみます
・SO905iは力作
・SO705iはNECの使いまわし!
・しかし「NECの使いまわしにしては」妙にソニー端末に仕上がっていた。

そもそも、SO905iとSO705iはOSまで違っています。SO905iは「シンビアン」でSO705iは「Linux」。よってSO705iへのソニーの過去の資産の使いまわしは面倒なはずです。

撤退する直前の行動としては頑張りすぎではありませんか?しかも、撤退ではないと発表で念を押しています。


◆ソニーは積極的にOEMを選んだ可能性

他社の撤退は「頓挫」「挫折」とでも言えるようなものだったかもしれません。しかし、ソニーの今回の決定は、そういう感じではないかもしれません。

こういう想像はどうでしょう?

・SO905i/SO705iは、自社生産するべきかOEMにすべきかの「テスト」に使われた。
・社内の「自社生産派」はSO905iの開発に集結し、自社生産の存続を賭けての社内的「勝負端末」の開発に取り掛かった。
・もう一つのチームが「NECのOEMでもソニーらしい端末が作れるかどうか」ということを追求した。

そしてソニーが下した判断は、「ソニーとしてはOEMで『問題ない』(許容できる)と判断する」というものだったのではないでしょうか。

そうだとすると、ソニーにとっては頓挫でも挫折でもないことになります。ですから、「撤退」なんて言われるのは心外なのかもしれません。

もしかしてに過ぎませんが:
・OEMでもソニーの作りたい端末は作れる
・自社開発の方が自由にやれるが、開発予算が自由になるほうがメリットが大きい


◆NEC+パナソニック+ソニーの三社連合?

よくよく考えてみると、NECとパナソニックはすでに端末開発を共同で行っています。ハードウェアの開発も共同で行っています。そう思ってドコモの(過去の)端末ラインナップを眺めてみると、NECとパナソニックで兄弟に見えてくるものが色々と出てきます。たとえば「薄い端末」がNとPで似た時期に似た形状で出ていたりします。

そして、世間の普通の人は、NECとパナソニックが相互に使いまわしであるということをよく解っていなかったりします。変な言い方ですが、NECとパナソニックが別の端末であるように見せる事にすっかり成功しているというわけです。

そもそもパナソニックのあの売れ方を見ていると、もはや端末の中身がどこで開発されているかなど、どうでも良いのではないかという気にもなってきます。

ならば、三社で同じハードを使いまわしてそれぞれ別の端末を開発しても問題無いのかもしれません。

前に書いた時点では、SO706iは出てもSO906iはもう出ないのではないかとも思っていましたが、もしかするとそうではないかもしれません。

ソニーは今回、「OEMでもソニー独自色を感じられるSO705i」を出してきました。もしかすると、次は「OEMでもソニーの看板機種が成立する事を証明する機種 - SO906i」を出してくるのかもしれません。

自社開発を諦めるとなると、もはやソニーから世間を驚かせるような端末が発売される可能性はおよそ無くなると言うことになります。悪くすると、90xは今後もう発売されなくなります。どちらにせよ、「ソニーのファンにとっては全くありがたくない話」であることは確実です。ただ、OEMでもいいからSO906iが出てほしいという希望は叶うかもしれません。

もしかするとこうなってしまうのかもしれません、いかにも無責任で間違っていること確実な予想ですが。

・三社連合となり、ドコモの携帯は一系統にほぼ集約される。
・共通の基本ハードが開発され、NEC・パナソニック・ソニーはそれぞれ独自色をつけて販売する。
・富士通は(儲かる)らくらくホンなどの主流ではない端末を出すだけになってゆく。あるいは富士通も共通ハードで端末を出すようになる。
・シャープは独自路線(全キャリアに端末を供給して相互に使いまわす)を続ける。

またソニーからは正式発表がなく、日経が例のごとくの記事を書いただけの状態ですから、もしかしたら現時点でもソニー内部では、SO905iとSO705iの結果を巡っての議論が続いているかもしれません。ファンの人は、「ソニー社内でまだ議論が続いていて、独自開発を放棄しない方向に決定が覆る」事を期待すべきでしょうか。

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コメント

http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080317nt0a.htm

 ソニー・エリクソンが、NTTドコモ向け携帯電話端末の
定番シリーズから撤退することが分かった。
高機能モデルの900番台シリーズでは「906」を最後に開発を取りやめ、
標準的な機能を持つ700番台シリーズも現行モデルの「705」を最後の機種とする。

 ドコモ向け端末は、他社から基幹部品を調達して販売を継続することを検討しているが、
日本市場での販売は縮小する見通しだ。同社はソニーとスウェーデン・エリクソンとの合弁会社。

音楽再生機能付き携帯で人気を集めたが、調査会社MM総研によると、
2006年度の国内出荷台数は394万台でシェア(市場占有率)は6位にとどまっていた。


今日の読売新聞によれば
SO906iを最後に撤退するそうですね

投稿: | 2008/03/17 17:49

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