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707 アメリカの700Mhz帯オークション終了、ただし結果はまだ秘密

日本に先駆けて割り当てが行われる、アメリカの700Mhz帯の割り当てが決まったようです。


◆700Mhz帯

アメリカの700Mhz帯も日本と同様に、アナログ地上波の終了にともなう携帯電話への再割り当てによるものです。

ちなみにこの700Mhz帯割り当てですが、「100年に一度のチャンス」とさえ言われています(ちょっと大げさな表現でもありますが)。というのも、移動通信で利用することに非常に向いた帯域で、そのような帯域がなおかつまとまった割り当てがなされるという非常に稀有な機会だからです。

一般的に電波は周波数が高くなると面倒な性質を持ちます。建物の中などに入らなくなったりします。2Ghz帯を使っているFOMAやソフトバンクの3Gが建物の中で圏外になりやすく(FOMAは鬼のような基地局整備でこれを乗り越えつつありますが)、800Mhzを使っているドコモの第二世代やAUが圏外になりにくい、ということで実際皆さんも体感されているはずです。

しかし、あまりに周波数が低いと今度は無線部(アンテナなど)が大きくなりすぎたりするなどの問題が生じます。800Mhz帯付近は、そういう意味でとても携帯電話での利用に適した帯域です。

700Mhz帯を手に入れれば、少ない投資で良質のサービスができるようになるのです。


◆アメリカでの割り当ては「オークション方式」

日本での割り当てはもうしばらく先になる予定です。帯域の取り合いでおそらくものすごい騒動になるはずです。

一方でアメリカでは、もう割り当て競争がもう終わりました。これまで記事にしてなかったなと思いつつ、割り当て方針についてまず簡単に説明をしたいと思います。

帯域の割り当ては、オークションによって行われています。つまり、入札資格のあるところで入札枠に一番多くのお金を積んだところが帯域を手に入れられるという簡単な仕組みです。

オークション方式は日本でも一部の方面で大人気です、というのもお役人の恣意的な割り当てによらずに割り当てがなされる方式なので、お役人が嫌いな人には人気の方式です。しかし、欧州の3G帯域割り当てでは帯域の価格が高騰しすぎてその後のサービス提供がすっかり変な感じになってしまい、オークション方式は失敗した、という評価が(これまた別の方面では)あります。

まあ、フェアなのはフェアなのですが(恣意的な面が一掃されますので)、所詮オークションは売るものを「お金」に最も効率的に交換する方法なので、「帯域を国民の為に最も有効に使わせる」ところに割り当てることとは、直接は一致しません。ある意味、決定的なズレです。

経済学でこのズレを吸収する理屈を構築する事も可能なようですが、現実的には、理論どおりには行かないようです。あるいは、慎重に言うならば、理論どおりに行くとは限らないということです。

欧州の例では、お金への効率の良い変換には成功したわけですが、良いサービアを提供させる事には失敗したという評価があります。入札終了までは盛り上がったけど、帯域を買っただけで息切れしてしまい、結局ろくなサービスが出来なかったし、もう実際ダメじゃんよ、という話を聞く気がします。

日本での700Mhz帯の割り当ての際には(というか2.5Ghz帯のときもそうでしたけど)、オークション方式じゃないとダメだと騒ぐ人が居ると思いますけれども、まあ良し悪し、あるいはよく考える必要のあるものだということは頭に入れといてください。

本題に戻ります。

アメリカでは、五種類に分けて帯域をオークションで割り当てる事になっています。それぞれAからEの名前がついててこういう感じになっています。

Aブロック 中規模ブロックでの競売:地域に細分されておりそれぞれ入札
Bブロック 小規模ブロックでの競売:地域に細分されておりそれぞれ入札
Cブロック 大規模ブロックでの競売:全国免許(MVNO義務有り)
Dブロック 平時のみ利用できる特殊帯域(緊急時は公共無線にする)
Eブロック 帯域がペアになっておらず、基本的に片方向通信用

AとBは地域ごとに入札します。また複数の地域を落札する事も可能です。
Cは今回一番注目の帯域です。落札額が一定に達した場合にはMVNO義務が生じますが、実際のところそれは確実。
Dはユニークな帯域で、平時は民間で利用できるのですが、平時でなくなった場合には公共用に無線インフラを提供する義務があるという帯域。
Eは片方向の無線用であると言われており、放送用などに用いられるといわれています。要するに、「帯域がペアになっていない」帯域です。


◆結果はまだ内緒らしいけど

で、オークションは終わって大層な金額になったようです。アメリカの政府には良い収入になったことでしょう。

終わったにもかかわらず、なぜかどこが落札したかという肝心の発表はもう少し先になっています。ですが、結果は以下のとおりであろう、といわれています。

注:ただしこれは事前予想なので、実際の結果とは異なります

Aブロック 基本的にAT&Tが落札
Bブロック 乱戦
Cブロック ベライゾン勝利 Google敗北
Dブロック 入札不成立(おいおい)
Eブロック クアルコム様

まずはAブロックですが、AT&Tがほぼ押さえたようです。

AT&Tというのはアメリカの携帯電話会社のひとつです。ついでに携帯電話会社をざっと書いてみると、

・ベライゾン
・AT&T
・Tモバイル
・スプリント

AT&Tはあんまり元気のないキャリアです(現在のスプリントほどではないにせよ)。そういえば絶頂期のドコモが北米に投資を行って、その後それが兆単位の特別損失になるという事件がありましたが、その投資先はここだったはずです。あなたのパケ代が消えた先でもあるわけです。

ちなみに「iPhone」はジョブス師匠の我侭を一番聞いてくれたということで、AT&T独占供給になっています。AT&Tはアップルに(いわば)理不尽な支払いをしつつも、しかしiPhoneの恩恵も受けて加入者を増やしています。

スプリント(Sprint Nextel)はこのブログで良く話題に出てきているあの会社です。スプリントは2.5Ghz帯を同じようにしておおよそ獲得しています。そして、各種次世代技術を競争させた上でモバイルWiMAXの採用を決定し、通信界に革命を起こすぞと気勢をあげていましたが、現在は大変な経営状態になっていてそれどころではなくなっています。

ベライゾンは後で書きます。

Tモバイルはドイツの国営電話会社をルーツに持つ携帯電話会社が国際展開(買収)したものです。ボーダフォンっぽい感じで世界の電話会社を買収しているもののうち、アメリカのものです。W-CDMA陣営です。現在、スプリントから加入者を奪っている模様です。

同じく、世界には元国営会社が世界展開して巨大になっているものが結構あります。結果的に日本に縛り付けられてしまったドコモ(やNTT)とは違う感じのところも多いということです。

#以上、どこか間違ってたらごめんなさい

次にBブロックですが、こちらは乱戦なようです。「乱戦」という意味が解らないかもしれませんが、割り当て単位が結構小さい事と、日本と違いアメリカでは小規模な通信会社が居たり(地域限定とか、なにその変なサービスとか)、今回は色々な金持ちが手を挙げてなにやらやろうとたくらんでいたりするので、そうなっているようです。

結果が公表されると、珍奇なところが落札してたりして笑える事もあるかもしれません。なにせ「オークション」ですから、変なところが落札することだってあります。

次にCブロックですが、これが今回の最大の注目のところであります。Googleが携帯電話事業に参入すると一部で話題になっていたのは(ネットはGoogle贔屓ですし)この帯域のことです。なにか、一部ではGoogleが落札した前提での話が進んでいたようですが、結果としては敗北なさったようです。

落札したのはベライゾンのようです。

ベライゾンについても以前少し書きました。CDMA2000では世界最大な感じのある電話会社です。エリアや品質などでは一番優れているところのようです。CDMA2000陣営の電話会社側の重鎮だったのですが、2007年にLTE(W-CDMA陣営)に寝返る事を決定しています。

またベライゾンは、ボーダフォングループの一員でもあります。

ともかくベライゾンは、2009年2月からの「700MhzでLTE」の権利を手に入れたというわけです。

Dブロックは入札不成立となりました。Dブロックのアイディアを考えた人(アメリカのお役人さん)は、結構張り切って入札に臨んだようですが、結果としては大失敗なようです。帯域を使わせる代わりに、早期に全国に展開し、そして緊急時にはインフラを明渡す。民間もつかえるし、公共用のインフラも労せずして手に入る、はずだったようですけど。

今後どうなるかというと、条件を変更して再入札行きになるようです。

Eブロックですが、ここはクアルコムが落札したとされます。片方向の通信、つまり放送用に使う帯域である言われていますから、つまり「MediaFLO」での放送を行うために帯域を獲得したということのようです。

帯域的には単にペアになっていないだけのようですから、TDD系の通信技術で使う事もできるのではないかという気もしますけど。IEEE802.20のTDDモードとか。

もしMediaFLOでの獲得帯域が成功しているとするなら、クアルコム様は放送をする会社になるということになります。今までと違うイメージです。

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