706 WiMAXの風吹かず:北米の700Mhzの過半はLTE陣営が獲得
アメリカでの700Mhz割り当てについて少し書きます。
まだ正式にどこに割り当てられたかは発表されていないようですが(もし「正式に」発表されていたら教えてください)、現時点で解っている事について書いてみたいと思います。
以前書いた記事:
アメリカの700Mhz帯オークション終了、ただし結果はまだ秘密
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/03/707_700mhz_26ac.html
◆結果のおおよそ
結果の細かいところはまだ正式発表されておらず、またやたら沢山の(実際にものすごい数)オークションが行われているので、まだ結果がどうだったはすっかり解っていないようです。しかしながら色々調べればかなりのところまで解るようですが、どちらにせよもう少ししたら正式に全部発表されるのでそんな労力を使っても微妙なところです。
注目のCブロックについては、結局ベライゾン(アメリカの携帯電話会社)がほぼ抑えました。Googleはどの帯域も獲得できません/しませんでした。また、ベライゾンはCブロック全てを獲得したわけではなく、一部の重要ではない地域については獲得していません。しかし、ベライゾンはBブロックやAブロックにも手を出しており、併せて全米をカバーする帯域を獲得したようです。
つまり、700MHz帯獲得競争はベライゾンの圧勝(あるいはベライゾンは大金を使い込んだ)ということになりました。
そして、AT&T(アメリカの携帯電話会社)もベライゾンの次に多くの帯域を獲得した模様です。AT&TはBブロック中心にAブロックとBブロックで沢山の帯域を獲得し、全米をカバーできる帯域を獲得できた模様です。
他にも、新規参入が怪しげながら全国をカバーする帯域を獲得したようです。怪しげというのは、帯域がペアになっていないEブロックが多く含まれているとかで。Eブロックは放送に使うか(MediaFLO)、TDD方式でしか使えないためです。さて、どうするんでしょうね。
また予想のとおり、よく解らんところ(と言っては失礼かもしれませんが)があちこちを落札したりしているようです。興味深い事をやるところもあるでしょうし、ワロスなところもあるのではないかと思います。ネタの供給源としてはこちらこそ注目かもしれません。変人が落札した帯域は複数あるはずです。
◆アメリカの700Mhz帯はLTEに(おおよそ)染まった
ポイントは、ベライゾンとAT&Tが大半を獲得した事ではないかと思います。
ベライゾンは以前記事に書いたとおり、元々はCDMA2000陣営の代表格のキャリアでしたが、LTEに寝返ったところです。AT&TはもともとGSM/W-CDMA陣営です、よってLTEを採用することになるはずです。
つまり、北米の700Mhzは基本的に「LTE陣営が獲得した」ということになります。
一部ではGoogleがCブロックを獲得するのが確実だと信じられていたようです。ネットは不必要にGoogle贔屓だからでもありましょうし、700Mhz帯の獲得に当たってアメリカではGoogleがかなり騒いだこともあったのかもしれません。たとえばCブロックは日本でいうMVNO義務のようなものが課されていますが、これはGoogleが騒いだ結果そうなったようなものでした。
しかしGoogle落選は、以前から(別の)一部で囁かれていたように、そもそもGoogleの予定のとおりで、この結果は「Googleの計略のとおりである」という話もあります。
Googleの「Cブロックはオープンにすべきである」という主張、Googleの清潔なイメージによりGoogleは正義のためにそのような主張をしていたのだと思った人も多いようですが、自分が帯域を全力で獲得するつもりであるならば、なぜそんな面倒な義務をつけようとするでしょうか?最初から、帯域は他人に落札させ(そして基地局整備も他人にやらせて)、設備はGoogleが使わせていただくと言う算段だったのかもしれません。
あるいは慎重に書くとこのようになるでしょう、「そのように考えてすっかり辻褄が合うのも事実である」と。
Googleでなければベライゾンが落札するであろうことは周知の事実でした。ということはGoogleは最初から自分で獲得するつもりが無かったなら、あるいは途中でベライゾンとの競争を諦めた時点で、Googleはベライゾンから回線を借りることになるわけです。
それはつまり、ベライゾンのLTE回線を借りると言う事になり、Googleが携帯参入するとしたら「ベライゾンの回線で、LTE端末で参入をする」ということになります。つまりGoogleももはやLTE陣営の一部ってことかもしれませんね。
一部では、
・Googleは700Mhz帯Cブロックを獲得する
・モバイルWiMAXで参入する
という予想(あるいは願望)もあったようですが、そして、モバイルWiMAXはここから巻き返すなんていう予想もあったようですが、まあ反対の展開です。
もちろん(のはずですが)、大半の予想は今回の結果と大きく違わないものだったとは思いますけど。
ただし、多数の地区に分けてのオークションだったので、小さいところも含めると色々なところが帯域を獲得しています。よって、モバイルWiMAXが一切採用されないこともまた考え難いので、どこかでサービスインすることにはなるでしょうけれども。
#にもかかわらず一切採用されない場合、それこそジ・エンドです。
ちなみに蛇足ながら、そして当たり前の事ながら、iPhoneはGSM対応で発売されていますから、普通に考えるとそのうちに「GSM/W-CDMA」に対応したiPhoneが発売され、最終的には「GSM/W-CDMA/LTE」に対応する可能性が「高い」(「必ず」ではない)ことになります。こちらもLTEに向かっているわけです。
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コメント
モバイルWiMAXは完全なババだったのか?
一部報道で、携帯キャリア4社がLTEを選択との情報です。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=AS1D31004%2031032008
これが事実なら、KDDIは基地局全取替えだろうか。
モバイルWiMAXとの、二重投資になる恐れはないのでしょうか。
投稿: TT | 2008/03/31 20:09