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744 エリクソン(LTE陣営)が新兵器の試験に成功、次に割り当てられる2.0Ghz帯でLTEが可能になった?

エリクソンがTDDモードのLTEの試験に成功したとのことです。これが何を意味するかに付いては以下で説明をします。

◆TDDモードでのLTEの実験に成功

以下のとおり、エリクソンが、TDDモードでのLTEの実験に成功したそうです。

スウェーデンEricsson,TDDモードのLTEをデモ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080201/292771/

元の発表(英語)
http://www.ericsson.com/ericsson/press/releases/20080130-1186619.shtml

これまでに書いてきたとおりエリクソンはLTE陣営の重鎮で、そこがなにやら試験に成功したという事であります。

◆TDDモードとは

「TDDモード」とは下り(基地局→端末)と下り(端末→基地局)の通信に同じ周波数を使い、「時分割」で上がりの通信とくだりの通信を切り替える方法の事を言います。

これに対応するのは「FDDモード」です。これは、下り(基地局→端末)と下り(端末→基地局)を別々の周波数(周波数分割)の通信で行います。

TDDな方式としては、PHSや次世代PHSやモバイルWiMAXやTD-CDMAやTD-SCDMAなどが挙げられます。現在利用されている方式ではFDDな方式が大半で、具体的にはGSMやPDCやW-CDMAやCDMA2000や(普通の)LTEなどが該当します。

上下の分離の仕方が違うと何が違うかというと違うところは色々あるわけですが、今回発表資料に書かれている点に関係するのは「周波数帯の感じが違う」という点です。

TDDモードは時間で分割します。ですから、上がりと下りは周波数帯を共用します。つまり、帯域は一つあればそれで大丈夫という事になります。しかしFDDモードでは上がりと下りは別の周波数で通信をします、つまり、帯域は上がり用と下り用の二つが必要になります。

FDDでは帯域は上がり用と下り用が別だからといって、何も変わらないじゃないかと思うかもしれません。しかし、上がり用と下り用の周波数が隣接していると、上がりと下りの通信が混信してしまう/あるいはうまく分離できなくなってしまいます。つまり、上がり帯域と下り帯域を離す必要があります。しかし、周波数帯があまり離れるとアンテナなどの周波数で設計を変えないといけない部分が共用できなくなります。つまり、ほどほどの間隔で離れている必要があります。

よって、携帯電話用の帯域というのは(一般的な方式がFDDということもあり)、上がり帯域と下り帯域がちょうど良い間隔でペアになっている形で用意されている事が多いのです。逆に言えば、ペアになって居なければ携帯用には使えないということです。

ところがTDDでは上がりも下りも同じ周波数を使います。したがって帯域がペアになっている必要性はありません。

つまり、携帯用の帯域とは
・FDD用にペアになっている帯域
・TDD用の帯域(ペアになっていない)
という感じで分類できるという事でもあります。


◆日本の2.0Ghzや2.5GhzもTDD帯域

エリクソンの発表資料によると、世界の携帯用の帯域のほとんどはFDDな帯域で90パーセント以上だそうで、TDDは10パーセント以下しかないという事です。しかし、それは存在しないという意味ではありません。

現に日本でこの間まで大騒ぎになっていた2.5Ghz帯(結果的に?)も、これから争奪戦になるであろう2.0Ghz帯も、両方ともTDD用の帯域です。次に割り当てられる2.0Ghz帯がCDMA2000やW-CDMAなどに使えない(まともな方法では使えない)のも、FDD用ではないためで、ペアではない連続している15Mhzだからです。

そして、エリクソンの発表は「TDD帯域で使えるLTE」の実験に成功した、というものです。さらに、FDD用の機材と同じものでTDDモードにも対応させることに成功したと発表しています。つまりFDD/TDD兼用基地局が開発されうるということになります。LTE陣営は一種類のハードウェアを量産し、それはFDD用にもTDD用にも使える基地局であるというようなことになるかもしれないということです。

また「とりあえず試験には成功した」というレベルの状態のはずなので(そうじゃなかったらすみません)、実用化できるのはしばらく先になると思いますので、日本の2.0Ghz帯で利用するのはちょっと難しいのではないかとおもいますが、可能性としては

次に割り当てられる2.0Ghz帯でLTE(TDDモード)をサービスインできる可能性がある。

ということにもなります。考え方によっては超展開です。


◆注意すべき点

いわゆるLTEと同一ではない:

注意すべき点は、LTEとは言っても通常言われているLTEとは違うものであるということです。ですから可能性としては、通常のLTEは素晴らしい性能に仕上がったがTDDモードのLTEはお笑い性能だとか、LTEが世界標準になってLTE対応電話機は世界中に溢れているが、TDDモードのLTEの電話機はほとんど存在しないとかそういうこともありえます。

何を言いたいかというと、2.0Ghz帯でLTEが使えるという理解は要注意だということです。

この手の最高速度の発表にはあまり意味がない:

で、次に注意して欲しいのは「速度に関する発表内容」です、これは毎度毎度なので暗記しておくと良いのですが、

空間分割多重通信の手法として2×2のMIMO(Multiple Input Multiple Output)を利用することで,90Mb/sを超える通信速度を実現したという。

ちなみに通常のLTEでは160Mbpsを出したとか言っています。しかし、これらの数値についてはそれほど気にする価値は無いと思ってよいと思います。

実のところ大雑把に言って、モバイルWiMAXもLTEも次世代PHS(XGP)も、速度面に関しては似たようなテクノロジーを用いていますので、「理論上の最高速度」については(同じ高速化の細工を用いれば)あまり差が出ません。実運用での速度の差は当然出るでしょうが、こういう発表でなされるのは「理論上の最高速度」のような速度値です。

実際にサービスインした際に問題になるのは、実際に製品として実現できる通信方式で、実際の利用環境において、ちゃんと繋がって遅延したりせずに安定して速度が出るか出ないかということになります。そういう状況を示すものからは程遠い数値です。

その他:

TDDモードのLTEが対応する帯域幅について、エリクソンの発表では、1.4Mhz~20Mhzとあります。これは別に、携帯キャリアに割り当てられる全帯域が1.4Mhz~20Mhzである必要があるということではありませんから、2.5Ghz帯でも2.0Ghz帯でも利用可能ではないかと思われます。

同じことを思った人は多いと思いますが、こうなってくるとTD-SCDMAの存在意義がさらに怪しくなってくるように思えます。元から微妙なポジションでしたが。

また、2.0Ghz帯域にTDDなLTEで手を挙げるところが出てきたりしたら面白いかもしれません。まあ、今のような状況では候補として考えるのは止しておいたほうが良いと思いますけれども。

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コメント

見出しにびびった、たじろいだ(笑)
最終決戦兵器が2.0Ghz帯に投入されるかと思った。
現実的には難しそうですね。やっちゃっても、LTE界のWibro君になりそうな。

しかし、中国の3GキラーはWiMAXかXGPになってもらいたいのでLTEにはもうちょっと後においでになって頂きたいところ(笑)

投稿: | 2008/02/06 12:41

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