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743 「ソフトバンク専用の正義」がまた見つかった

(2.5Ghzの)MVNO条件での騒動の再発生の可能性について記事を書きましたが、ソフトバンクがまた自分専用の正義をやっているのではないかというものを見つけましたので書いてみたいと思います。

◆記事

まずは記事です。

ソフトバンクBB筒井氏が「新情報通信法」への要望など熱弁--第24回ICPF
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20366354,00.htm

そもそもこの集まり自体がどうなのだろうかと思ったりもするのですが、それは置いておいて記事の要点(と思ったもの)をまとめたいと思います。

・「レイヤー型構造」は興味が無い、むしろ独占事業者に圧力を
・「放送局」「特定無線局」に参入しやすくしてください
・NTT東西が光ファイバを8分岐単位で貸し出しているのはけしからんので1分岐単位にすべし
・8分岐単位で別に問題ない、という国の判断は許せない
・「レイヤー型構造」みたいな無駄な事ばっかり議論して、必要なことが行われていない


◆国とNTT東西を絶賛攻撃中(光ファイバー)

そもそもはADSLに参入した時から、
・独占であるとか不公平であると言って国に圧力をかける
・NTT東西(など)から「権利を剥がす」
・剥がした権利で儲ける
ということでADSL関係の各社はやってきたわけですが、この延長のものです。

ADSLは変な商売で、利用者から電話局までの電線はそもそもNTTのもの、ADSLの装置を置くNTT局舎内の場所もNTTのもの、インターネットへと繋ぐ方の回線もNTTのもので、つまりほとんどNTTの設備に乗っかっているだけで儲かるという変な商売でした。

孫社長は頭が良かったのでどうすべきか良くわかっていて、
・NTTは悪い国は悪い、開放しなさい提供しなさい値下げしなさいと詰め寄って設備を安く手に入れる
・本来日本では使ってはいけないはずだったアメリカ方式のモデムを、安い値段で輸入してきて無理矢理日本で使ってしまう
・NTT局舎の場所をとにかく大量確保、需要に応じてではなく最初に大量確保
・あとはADSLモデムを送りつけるだけで自動的に儲かる

NTTに寄生するだけで自動的に儲かる仕組みに近かったので、ぬるい感じで商売していても大丈夫だったわけですが、孫社長は徹底的にやってADSLで大勢力となりました。

通信屋というと普通はインフラ勝負なはずなのですが、ADSLは何の商売なのかよく解らない感じです。
・NTTから剥がせるものは剥がし尽くす
・他の新規参入が手を出す前に押さえられる権利は全部押さえ尽くす(例:NTT局舎の場所を無駄に占拠して他社に迷惑をかける)
・安価なADSLモデムを大量購入
・超攻撃的な販売で早期に市場制圧
・利益は市場制圧を行ってから

消費者の立場、あるいは国民の立場から見てこういう流儀が立派に見えるかという重大な問題はさておいて考えると、商売人としては孫社長は頭が良かったということになります(これは褒めています)。

そして時間が経ち、光ファイバーがもてはやされる時代になりつつあります。光ファイバーがADSLと違うのは、ADSLは元から引かれている電話線を使うだけで済むのにたいし、光ファイバー自体を利用者宅まで引き込まないといけない点です。インフラを作るところからしないといけないのです。ほとんど何もしなくていいADSLとは状況が変化しました。ルールが変わってしまったわけです。ADSL時代の勝者としてはルールの変更は困った現象です。

そこでまず携帯電話に商売のバリエーションを広げつつ、光ファイバについても引き続き「NTTから剥がせるものは剥がそう」ということで商売なさろうとしている様子です。

そういうわけで光ファイバーをもっと安くもっと有利な条件で貸せ貸せ攻撃を現在なさっています。ADSLの時と同じ感じで。

「NTT東西が光ファイバを8分岐単位で貸し出しているのはけしからんので1分岐単位にすべし」というのもその一環です。それに対して国は、NTTの言う設備側の事情を考慮すると8分岐単位で問題ないという回答をしていて、これが不公平だと騒いでおられるわけです。

しかし(面白い事に)この会場からも、「その(国への)要求は変じゃないですか?」というツッコミがあったようですね。


◆「レイヤー型構造」には興味がございません

レイヤー型構造というのは、『CODE』という有名な本の著者のローレンスレッシグなどが主張してるらしい通信業界の新しい公平な競争のさせ方のことです。

#邪悪なリンクを張りました

ちなみに『CODE』ですが、インターネットの自由と規制のことや著作権のことについてインタレスティングな事が書いてある本なのですが、翻訳が山形活生なので妙に馴れ馴れしい文体で訳されていて読みにくい点以外は読むべき本です。内容的には一般人でも大丈夫な難しさです。

CODEはかなり以前に読みましたが、その後の著作は忙しくて読めていないので、もしかしたら以降の著作に「レイヤー型構造」についてまんま書いてあったりしたらどうしようと思いつつ書いていたりもします。

脱線しましたが、「レイヤー型構造」簡単に説明するとこういう感じに事業活動を分離し、それぞれ別の層に対しては公平に中立に振舞わせるという案、だったはずです(実は記憶のみに頼って書いています)。確かですが、

・物理層
・論理層
・コンテンツ層

物理層は通信インフラそのもののこと。論理層はネットのある地点からある地点に通信ができるようにする仕組みのレベル、コンテンツ層はその上で展開する各種サービス・コンテンツということになります。

ポイントは上記の三つに必ず分けることではなく、合理的な方法で幾つかの層に分離する事だと思ってください(だから、上記の三つが間違っていても勘弁してください)。

競争はあくまでもそれぞれのレイヤー内(層の内部)で行います。レイヤーをまたいでグルになって商売をしたりせず、他のレイヤーのプレイヤーは全て公平に取り扱うという案です。何が禁止されるかというと、コンテンツ層と論理層が一体となって何かをする事や、論理層がコンテンツ層への待遇に差をつけることは禁止され、中立的に公平に扱うことが義務になります。

例えば、YouTube(コンテンツ層)のトラフィックを下層が選択的に制限するような事はダメ(公平に取り扱っていない)。回線とコンテンツを抱き合わせで顧客に販売するのもダメ、そういう感じです。違う層のプレイヤーは公平に扱い、不公平にとりあつかったり、接続や利用を拒否したり、待遇に差をつけてはならなくなります。

動画配信サービスは動画配信サービス同士で、動画配信サービスとして競争する。回線提供をする業者は回線を提供する業者の間で競争する。回線とサービスがグルになって他を圧倒しようとするようなことは、健全な発展やインターネットの自由にとってよくないので止めさせようということです。

まあそういう感じの主張です。

これについてソフトバンクの人は「そんな役に立たない理想論みたいな話は止めるべきだ」的なことを言っています。何故そう言っているかというと簡単です。分離させられるとソフトバンクが困るからです。回線接続の部分とヤフーのようなコンテンツの部分を抱き合わせにして顧客に売る事をようなことをやっていますから、そこを分離させられて「公平な競争」をさせられると、困るわけです。

ですから、「レイヤー型構造」はソフトバンクにとっては困る考え方なので止めてもらいたいのでしょう。

だから、「レイヤー型構造」(都合の悪いもの)は役に立たない理想論だから止めるべきだというようなことを言い、そして「レイヤー型構造」よりも独占企業への対処が(NTTからもっと剥がしたい)優先されるべきで不十分だ、と仰っているわけです。自分の都合にあわせた「正義」になっているというわけです。

まあ世の中は大抵そういうものだとは思いますけれども。

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