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740 KDDIがモバイルWiMAXを「低性能」だと考えている証拠記事を再掲載

KDDI自身のモバイルWiMAXに関する評価を示唆する発言について、記事にしていなかったなと思ったので、記事にしてみます。

これまでに(2007年末~)モバイルWiMAXについてかなり色々な記事を書いてきました。読んでおられない場合にはまずそちらをご覧になってください。


◆KDDIはモバイルWiMAXに「熱狂」していない

これまで継続的に記事に書いてきたとおり、私はKDDIはモバイルWiMAXに「慎重な姿勢」で取り組んでいるように見えます。少なくとも、他陣営などが非常に調子の良い事を言う傾向があるのに対し、KDDIはそのような事を言いませんでした。2.5Ghz帯の大騒動をリアルタイムで観察していた方には「割と明らか」な事実ではあります。

モバイルWiMAXというかWiMAXにまつわる世界的な変な熱については、これまでに書いてきました。特に、モバイルWiMAXが生まれるまでに不自然な経緯(何しろモバイル用じゃなかったわけですから)や、モバイルWiMAXに関わる各陣営の思惑、クアルコムや中国が何故モバイルWiMAXを嫌いなのかについて稚拙ながら説明をしてきました。

日本で(モバイル)WiMAXと言えばKDDIです。モバイルWiMAXには初期から関わっており、本格的な実験もやっています。日本でモバイルWiMAXを一番良く知っているのはKDDIと言える状態でした。

KDDIはこれまでに説明してきた世界の(モバイル)WiMAX各陣営とは違うところがあります。電話会社だということです。

インテルは自分のところの半導体が売れる事が大事です。モトローラは自分のところの基地局が売れる事が大事です。微妙な表現ですが「売れれば良い」のです。しかし、KDDIは巨額の費用で買った設備でちゃんとしたサービスをしなければなりません。

しかも品質にはうるさい日本です、KDDIは高度に現実と向き合わなければなりません。基地局を売る側からすると、調子の良い話をぶち上げて基地局を採用させて売り逃げも出来ますが、KDDIはサービスインして解約だらけになっても逃げられません。

以下、KDDIのモバイルWiMAXについての慎重な発言を引用しますが、私はこれをKDDIの「賢明な慎重さ」「良心的である」という証拠だと思っています。


◆KDDIの2.5Ghz帯争奪戦の終盤の発言

2007年の11月末、2.5Ghz争奪戦の終盤でのKDDIの発言です。ちなみに孫社長の場外乱闘はまだまだこの後、という状況です。まだ帯域争奪戦の緊迫した局面での発言です。

KDDI冲中氏、モバイルWiMAXの現状を紹介
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/event/37396.html

ワイヤレスブロードバンドについて冲中氏は、「はっきり言って、移動性はケータイより劣る」と述べ、「WiMAXについて誤解があり、本来、携帯電話用ではないため、当然3Gのリプレスはない。3Gを強化するデータメインの広帯域、低コストなもの」と紹介した。

割り当て争奪戦がすごいことになっている状況であるのに、モバイルWiMAXに過剰に期待する意見に思いっきり釘をさしています。しかも日本のモバイルWiMAXの代表格のKDDIが、です。

「WiMAXは広帯域と言われるが、本当の意味で広帯域なのは3Gケータイだ。それにデータ通信サービスは、ホットスポットなどを利用した方が高速だろう。WiMAXはそれらの中間にあるもの」と説明。

「無線LAN」との比較についても言及がなされています。


◆「モバイルではなくて、ワイアレスです」

これは先の記事より少し前、9月末での記事です。

KDDI社長、「PC向けデータ定額は検討中」
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfa001019092007

以下、小野寺社長の発言です。

――WiMAX事業への参入を目指す新会社の設立が発表されたが、au事業とはどうわけていくのか

WiMAXはauとは市場が違い、全く別のカテゴリーのもの。新会社の名前「ワイヤレスブロードバンド企画」からもわかるように、「ワイヤレス」であり「モバイル」ではない。事業主体は新会社であり、資金面でもKDDIは資本金は出すが資金の貸し付けは行わない。

「モバイルではなくて、ワイアレスです」という発言は他でもあった気がします。これも、モバイルWiMAXの「モバイルとしての性能の悪さ」を示唆させるものです。

また蛇足ですが、ついでに。

――新会社で事業免許が取れなかった場合、MVNO(仮想移動体通信事業者)などでの事業展開を検討しているか

取れると思っているので、取れなかったときのことは考えていない。

KDDI自体での参入排除がなされたけれども、「新会社を作ってでも参入する、我々は諦めないし、我々が日本ではベストのはずである」と気勢を上げていたころの発言なので、これは自信による余裕からではなく、動揺が原因の発言に思えます。


◆KDDIは慎重なのです

「ワイヤレス」であり「モバイル」ではない、というのは良い表現かもしれないと思いました。

前からの記事にも書きましたが、これまでKDDI(au)は技術的に優位でしたが、3.9世代については困った状況になっています。モバイルWiMAXも「ドコモと違うもの」に挑戦しようとしてのことでしょう。技術の違いは競争に優位に働いたり、得意な領域が異なることから「棲み分け」をする種になりえます。

「ドコモと違うもの」と書きましたが「ドコモ」とはLTEですから、「ドコモと違うもの」とは「LTEとは違うもの」のことです。しかし、恐らくながら「現状の」WiMAXはKDDIが期待していたものとは程遠いものではないかと思います。

これからはKDDIは「ほどほど」にモバイルWiMAXを展開して牛歩し、
・LTE
・UMB
・モバイルWiMAX改
のどれを(あるいはどれとどれの組み合わせを)自らの未来に選ぶかを考えるのでしょう。あるいは、「決定を保留できる」というのがKDDIが手に入れた最大の権利であるとも言えますから。

また、これらを踏まえて考えてみると、2.5Ghz帯争奪戦で騒いでいた某陣営はこういうことを解っていたのだろうかとも思えます、改めて。

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