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721 「家族間通話定額」は「窮屈な携帯の未来」の一部でもある - 「解約妨害割引」と「二台待ち」

AUとドコモがサービスインすることになった「家族定額」について少し。

#相変わらず時間が無いので、投稿したい記事を全て投稿できていません


◆家族間通話定額

先日ドコモが「家族間通話定額」を発表しました。AUも家族定額をしますし、ソフトバンクはすでにサービスイン中、残りの二社は家族に限らない定額を提供中です。

前回の記事では、これに関して「ドコモがiモードの値上げをしてでも」家族定額を開始したかったの「かも」しれない。という事を書きました。まあ、そのように憶測してみただけで、そうである証拠はないのですが。

722 ドコモのiモード利用料が100円値上げ、が「家族特定財源」である説
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/02/722_i100_12bd.html

便利になることはありがたいことです、ですから家族間の定額は便利な事には違いありません。

しかし、利用者側からすると「こうなってほしい」ことは沢山あります。例えば、先の記事の「iモードの値上げと家族間通話定額が引き換えで導入された」というのがまことであった場合、
・iモードを100円値上げせずにそのままにする
・家族間通話定額
のどちらでも良かった事になります。

さて、もし自分でどちらかを選べといわれたらどうするでしょうか。100円の方を取る人も多いはずです。つまり、携帯電話会社がユーザにできることには色々な可能性があるということです。


◆つまらない理由

「家族間定額」が携帯キャリアにとって有難い理由は、家族単位で利用者をブロック化して、自分のキャリアにユーザを縛り付けるためです「家族間定額」だけではなく、「家族割」というものもありますね。

たとえば「家族全員でAUにして安くしたのでAUから変更できません」みたいな結果を期待しているわけです。

言ってみれば、「解約を難しくする代わりに安くしている」だけというわけです。2年契約をすると安くなる、解約すると大変な出費が突然発生する、というのと基本的に同じ仕組みという事になります。

ドコモが家族間定額をサービスしたかったのは、
・他社の家族ぐるみ割引サービスに客が逃げるのを止めたかった
・ドコモを解約しにくくしたい
ということを多少のコストをかけてでも行いたかったということになります。

もっと簡単かつ誤解を招く気味に書くと、これらは「解約妨害割引」の一種だということです。

「解約妨害割」には、2年契約なんかも該当しますが、こちらは端末代金の回収というのとセットになっている面もあります。しかし、家族割についてはそういうものはありません。

キャリア間競争を促進するためにMNPが導入されたというので解るとおり、利用者にとっては「キャリアを変更するコストが低い」方が有難い状態です。しかし、現状起こっていることはむしろ逆の流れにも思えます。

さらに考えてみてください。

家族が原因同じ携帯電話会社にしていて、なおかつ全員2年縛り、そして2年縛りが切れる時期は全員バラバラというような「解約妨害割の複合」が発生すると、移行することは相当面倒になります。


◆二台目携帯の意味

とても極端な例を考えると、たとえば「一生割」(一生解約しない代わりに割り引く)とか、非常に低料金である代わりに解約すると不動産を没収されるようなものも考えられます。

「解約妨害割」は利用者を窮屈にします。そして現状発生しているのはキャリア間での「解約妨害」の「軍拡競争」かもしれません。できるだけ利用者の心理に巧みに作用して、心理的障壁が少ないところからの。

総務省方面の人は、MNPやMVNOだけではなくてこちら側も気にした方がいいと思います。

また「二台目携帯」が最近増えてきているというのは、「解約妨害割」が進んだ将来においては、必然的に「二台目携帯」が流行せざるを得ないということもあると思います。もちろん、二社のサービスの良い点を組み合わせる形での二台持ちも多いはずですが。

つまり現在、携帯利用者は代金を支払うだけではなくて、余り意識せずに「自分の自由」を一部を支払う流れになっているということです。しかもあのドコモがiモードを値上げしてでも、解約妨害割をやりたかったの「かも」しれないほど。

窮屈な携帯の未来がやってこなければいいのですが。

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コメント

記事、面白いなーと、拝見しました。
普通のご家庭は、大変なんですねー。
拙宅は‥‥‥、そもそも滅茶苦茶です。

私:ウィルコム(昨年末までは、DoCoMoのPHS契約)
父:FOMA(PHSから移行)
母:SoftBankのプリペ携帯
弟と義妹:au

基本的に携帯に全く依存していない家族なので、各々の主義主張や好みで選択したら、てんでバラバラという有り様です。

家族割?家族間無料通話?何ですか、それ?状態。
ってか、毎日顔を合わせていると、携帯で連絡を取り合うなんて滅多にないんですよねぇ~。

投稿: 滅茶苦茶家族 | 2008/03/01 00:03

「解約妨害割引」がMNP殺しであるならば、ユーザの取れる手段は、二台目作戦しかないのかもしれませんね。

例えると

1台目:本籍地。土地安い。不便、不自由、だが先祖代々の家で放棄できない。旧知との連絡先はここ。

2台目:現住所。都会。土地高い。便利。自由。仕事・遊び。ころころ引越しします。

でしょうか。
1を不動のものにしながらも、生活の場のほとんどを2の土地で行っている。
生活の環境や仕事などが変わるつど、2を転々と変える。

2は1のような汎用性は求められないかもしれません。駅ちかで出勤便利ならボロ屋でかまわないとか。

あと、1と2でコミュニティが違うということも当然ありえますね。集団に特化した限定機能とか。トライブ(部族)モードとして。


この場合、そもそもMNPの範疇でないwillcomに商機が見えなくもないが、どうだろう。
逆に、新参にしてMNPの範疇であるEMは苦しそう。

投稿: TT | 2008/03/01 10:41

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受信: 2008/02/29 22:41

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