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775 2.5Ghzシリーズ:ドコモの沈黙の意味するもの

2.5Ghzの争奪戦で何ら存在感の無かったドコモですが、その事について。


◆沈黙の意味

2.5Ghz帯獲得に力を尽くしたKDDIと違い、ドコモは自分で手をあげる事も無く、アッカ陣営の一員となってからも特に何もしませんでした。よって今回の騒動では全く存在感がありませんでした。

まず、2.5Ghz帯の募集が行われるまでに、
- モバイルWiMAX
- 次世代PHS
- 802.20(iBurst)
- 802.20(クアルコム)
のいずれかでの募集ということになりました。

ドコモが特に自分で立候補しようとしなかったのは(例えばKDDIと比べて)、上記のいずれの技術@2.5Ghzにも興味が無いということです。

WiMAXで立候補したアッカの陣営にドコモが参加することになりますが、ドコモは何もしませんでした。

今回は色々と騒動がありましたが、ドコモが表立って「我が陣営に帯域を」と主張する事はありませんでした。ドコモがアッカを側面からサポートをするような展開、あるいは展開によってはドコモが陣営の主体であってアッカは傀儡のように見えるようなこともあり得たと思いますが、そういう状況には程遠い感じになりました。

アッカの説得力の弱さの一部については、ドコモ自身が「サポートするので大丈夫です」と明言すれば解消することもありましたが、結局のところドコモからの援軍は来ず、アッカは孤軍奮闘するような形となりました。

ドコモは(少なくとも今回は)WiMAXには興味が無いようです。また、アッカに帯域を取らせたい(ないしは他陣営から帯域を奪い取りたい)という強い希望も無いようでした。

あるいは、ドコモは他人の邪魔をするために争奪戦に参加するようなことはしないということかもしれません。


◆実質的に表明された事

・ドコモはモバイルWiMAXとは距離を置く。
・他陣営(例えばKDDI)がモバイルWiMAXで何か新しいサービスを始めることになるかもしれないが、その新サービスのもたらす脅威には対抗する方法がある。
・一番単純な対抗方法、2.5Ghz帯を自身で獲得してモバイルWiMAXのサービスに対抗する方法は取らない。
・他陣営のモバイルWiMAX帯域の獲得を妨害する形での対処も行わない。あるいはドコモはそのような下品な事は行わない。

まず、ドコモはモバイルWiMAXをあまり評価していない事がわかります。もし仮にモバイルWiMAXが(一部の信奉者がそう考えるように)革命的な存在であるならば、ドコモが獲得しないことには他社との競争で不利になります。ですが、そうではない(急を要するということは無い)ということになります。

次に、ドコモがもし、モバイルWiMAXは湿った花火のように失敗するという予想をしている場合を除いて(当ブログではこの可能性があることも指摘していますが)、モバイルWiMAXで開始される新サービスへの対抗手段を既に持っていると見なすべきだということです。

もし、ドコモの技術チームの判断として、モバイルWiMAXはただ炎上するだけで成功する可能性が無いと考えているならば、他社に取らせて自滅するのを待てばよい事になります。対抗手段は必要ありません。

しかしKDDIはモバイルWiMAXの実験をしてある程度は何たるかをわかった上で参加表明していますから、わけもわからないまま他陣営に割り当てられた場合はともかく、KDDIがかなりのトンマではない限り、少なくとも長期的には何らかの参入意義はあると考えるべきでしょう。

ということはドコモは

・既存のW-CDMA網での3.5世代/3.7世代で対抗可能
・LTE(Super3G/3.9G)ないしは開発中の4GでモバイルWiMAXは押し潰すことが出来る
・モバイルWiMAXは成功すらしないので対抗する必要すらない
・その他(あるいは未知の)対抗手段を準備している

のいずれかという気がします。

最初の選択肢については、ドコモは基地局整備に対して他社と比べてあり得ないほどの設備投資を行っている点を考慮すべきかもしれません。他社のW-CDMA網とは全く異質の完成度である故かもしれません。
46000局を豪語して全く達成できていないソフトバンクと異なり、ドコモは公約の44000を超えた46000基地局を達成し、次の公約の57000基地局に向けた基地局整備を続けています。ソフトバンクと異なり、基地局の質についても妥協はありません。

またドコモはまさにLTE開発の主役ですので、予想以上にLTEの仕上がりが良く、モバイルWiMAXが優位であるとされている領域についてもなぎ倒せる自信があるのかもしれません。


また、困った裏事情によるものだと考えると。

・ドコモはLTE陣営の政治的事情によりモバイルWiMAXとは距離を置かなければならない
・総務省的理由でドコモは今回応募できない空気であるだけで、本当は欲しい
・他のモバイルWiMAX帯域の獲得のための見えない取引が存在し、今回は帯域を要求しなかっただけ

どれも考え難い事情です。もっとも、隠れた事情など我々には解りようも無いわけですけれども。

もしドコモが今後獲得に乗り出すとしても、少なくとも他陣営がモバイルWiMAXをサービスインしてからしばらくの間は対抗手段を持てないことになります。また、ご存知の通りドコモは現在危機感ありの状態です。余裕によって譲ったとは考え難い状況です。


◆ドコモが今回動かなかったのは

ドコモが今回特に動かなかったのは、既に「より優れた別の計画」を手にしているからではないかとも思えます。あるいは、例えばLTE用/4Gの帯域をより確実に獲得するために、今回は特に手を挙げなかったのかもしれません。

LTE用帯域のための沈黙だとすると、LTEのためにはWiMAXの帯域と他社のWiMAXのサービスインは無視できるということであり、ドコモは必要も無いのに帯域を要求する無法者ではないことを示したという事かもしれません。

・KDDIとウィルコムは本気で獲得に乗り出しており、無事獲得をした。
・アッカは微妙な事になりましたが、そもそも微妙な面がありました。
・孫社長と千本社長のところについては、他陣営全ておよび総務省に遺恨を残すような結果となりました。

他陣営はLTE用帯域の獲得で前進したとは言えない状況です。

落選後にモバイルWiMAXの帯域が貰えなかったことでドコモはこれから困るという記事を書いたところもあるようですが、ドコモにとっては全て計画通りに進んでいるのかもしれません。

モバイルWiMAXはLTEに前に消え去るだけであり、ドコモはLTE用の帯域が取れれはそれで良い。既存の基地局網も最強クラスである。何ら問題は無い、全て計画どおりである、と。

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コメント

正月から精力的な記事アップですね。期待しています。
各社の超必殺技というか奥の手というのは以下のとおりかと思いますが
ドコモ:LTE
KDDI:WiMAX&EV-DO
SB:フェムトセル

これら超必殺技の発動タイミングや実際の威力というものが勝敗をどのように左右するのでしょうか。

投稿: | 2008/01/03 23:47

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