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776 2.5Ghzシリーズ:アッカはどうすればよかったのか、で振り返るこれまでの経緯

去年からの続きの記事です。


◆意外性の無い落選

アッカ、あるいはアッカ+ドコモ連合は、2.5Ghzの割り当てを受ける事ができませんでした。

落選の結果を聞いて意外な結果であると思った人は少なかったと思いますし、あまり存在が目立つ陣営ではありませんでしたので、印象が薄いまま消えていってしまったような感じもしなくもありません。

ドコモは居るのか居ないのか解らないような存在感の無さで、アッカ自体も完全に新規である以外にアピールできるような点が見えにくく思え、新規であるという点についてもドコモと組んでしまっている時点で何か説得力が弱いという状況でした。

色々な方面に恨みを買ったのではないかと思われる孫社長+千本社長の陣営と違い、影が薄いまま落選していったのでどちらかというと同情されつつ、しかし落選については自然の摂理であると思われているようなところがあるのではないか、そう思います。


◆手を挙げた理由

アッカが(モバイル)WiMAXに手を挙げた理由はADSLが先細りだという理由だと思われます。

アッカはつまりのところADSLで食っている会社です。アッカは現在のところはADSLでやってゆけていますが、将来を考えるとADSLでは先細りで不安に思えたということでしょう。

光に力をいれようとか、もっと違う業種に手を出すとか、ADSLの可能性をもっと掘り起こす事にしようとか、いろいろ方法はあったと思いますが、モバイルに参入しようと考えたようです。

WiMAXが世界的に大層な話題になっているころに、データ通信という意味ではADSLと似ているように思えたからでしょうか、WiMAXに手を出す事を決めて、2.5Ghzに手を挙げて、ドコモと組んで、そして落選しました。

イーアクセス(イーモバイル)もソフトバンクもADSLからモバイルにシフトしたという意味では似た状況です。


◆経緯を振り返る

以下、あちこち想像に過ぎませんけれども、

ADSLの次の商売はどうしようかという話は前からあって、そこに世界的なWiMAXの話題(のバブル)があったので、それでこの"話題のやつ"に手を出そうと決めたのではないかと思います。
しかしその後にWiMAXに本腰を入れるでもなく、しかし何もしないでもなく、細々とWiMAXのフィールド実験などをします。何もやっていないわけではないけれども、しかし何か成果があるわけではないという状況ではなかったでしょうか。

2.5Ghzの争奪戦が実際に始まる前に、一社ごとの割り当て幅をどうするかという話題がありました。当然のことながら狭くすると多数の会社が割り当てられるものの不便になり、広くすると便利だけれど少数の会社にしか割り当てられなくなります。
KDDIは技術的理由から30Mhz単位で割り当てないと厳しいという意見を出しました。技術的理由もあったのでしょうけれども、KDDIは必ず割り当てられると思っていたので幅が広い方が良いという本音もどこかあったはずです。そして、30Mhzで二社(あるいは30Mhzと暫定20Mhz)となりました。
アッカは、二番以内に入らないと割り当てられなくなりました。KDDIは鉄板の空気でしたから残りは一つ。難しい状況になりました。

ところがここでアッカを有利にするどんでん返しが来ます。
総務省が既存3Gキャリアを排除するという驚天動地の方針を出します。日本で名実ともにWiMAXを先頭に立って取り組んでいたKDDIはこの方針に怒ります。そしてこれがKDDIと総務省が反目しているようにも見える形となりました。
ウィルコムは既存キャリアですが、既存3Gキャリアではありませんでした。アッカは完全な新規参入で、総務省の最初のメッセージに一番マッチしているように見えました。
そしてマスコミは「アッカとウィルコムが有力」と書き立てます。しかしアッカはここを頂点にして勝機を失ってゆきます。

よく見ると既存3Gキャリアは完全排除されているわけではなく、出資額での制限がされていました。最初これはウィルコムにKDDIが10%出資していることに対処するための例外事項だという見方もありました。また、このことによりアッカとウィルコムの当選を意図した募集であるという解釈も可能でした。

しかしKDDIは「それでも断念しない」と宣言しました。出資額が少なくても技術的な力によって主導権を取れるとし、新会社を作って参入すると宣言します。これは負け陣営の悪あがきにも見え、総務省にKDDIが楯突いたようにも見えました。特に、KDDIがこれまでWiMAXとどういう関係を持ってきたかを知らなければ、KDDIが帯域をもらえる可能性はここで無くなったようにも見えました。

KDDIが新会社を作り、さらにソフトバンクとイーモバイルも新会社を作って争奪戦に割り込むと発表します。既存キャリアの排除ではなく、単なる出資制限でしかなかったことが明らかになります。ウィルコムは単独参入の構えを崩しませんが、アッカはドコモと手を組んでしまいます。

話題が実際にどのように参入するつもりかという点に進むにつれて、実際にガッチリ準備をしてきたKDDI陣営(とウィルコム)が他陣営よりもはるかにしっかりしていることが明らかになります。総務省とKDDIの反目がもしあったとすれば、ここで総務省が間違いを認めたような流れとなりました。KDDIは混乱を経て、結局は有力候補に返り咲きます。

一方でドコモはほとんど何もせず、アッカも積極的にアピールせず(出来ず)、孫社長がウィルコムとKDDIを罵り続ける大騒動の陰に隠れてひっそりと落選してゆく事になります。


◆アッカはどうすればよかったのか

まず、WiMAXに手を出すことに決めた際に、きちんと自身の手でWiMAXが何であるかを調べていない気がします。将来において流行り"そう"で、世界の標準になり"そう"だからこれにしよう、と思ってのことではないかと思います。

また参入を決めた後、KDDIのようにWiMAXに本腰を入れませんでした。KDDIはWiMAXにおいて無視できない存在でしたが、アッカはそういうことには全くなりませんでした。
公開カンファレンスでもアッカはこうようなこと言ってしまっています、「世界標準なのだからどこが参入しても技術的に大差がない、ならば新規参入に下さい」。これでは話になりません。
少なくとも、もし他の新規参入が手を挙げていた場合に、その新規参入にアッカが撃破される可能性に、無防備だったことになります。

次に、30Mhz幅で割り当てられる事に決まったことで、椅子の数が少なくなりすぎました。これにも反対すべきだったかもしれません。

唯一の勝機は既存キャリア排除の方針が出た事によるアッカへの強烈な追い風でした。もし「既存キャリア排除方針」はアッカが総務省にねじ込んだものだとすれば、大逆転の一撃だったと言えるでしょう。しかし、この後の流れを読み違えてしまいます。

実際にそのように出来た可能性についてはあまり考えずに書きますが、KDDIが狼狽している状況で、アッカがKDDIとの連合を申し出ていたら、超本命が出現したはずです。KDDIに(今回の序盤で)欠けているものをアッカが補う事が出来たからです。

あるいは、アッカ+イーモバイル+ソフトバンク(のサブセット)のようなことでも良かったかもしれません。

事実上アッカ単独のままでも良かったかもしれません。

ドコモと手を組みましたが、これによって唯一の完全な新規参入であるというポイントを汚してしまいます。そしてドコモですが、何らやる気がありませんでした。もしドコモが大声をあげて「我が陣営に帯域を!」と言っていれば、形勢は随分と違ったものになっていたでしょうが、ドコモは居るのか居ないのか解らないような状況でした。

最終盤になり、KDDI鉄板は揺るがないものになり、ウィルコムを「全体の幸せのため」という言いがかりで2.0Ghzに蹴り出す事だけが他陣営に残された可能性となりました。

最後の最後で、ソフトバンクとイーモバイルがアッカに提携を申し出ます。三位四位連合を形成し「ウィルコムを追い出せば落選は居なくなる」という構図にしたかったのでしょうけれども、アッカはこれに乗りませんでした。しかしこの提案については、アッカは無視して正解だった気がしますけれども。


◆落選して幸い、と思える

結局、アッカは主体的に行動した形跡に欠ける印象です。アッカがWiMAXに本気であると思わせることはあまり無かったように思えます。

その反面、落選しても大きなダメージは無いようにも見えます。ADSLが先細りに思えるので将来どうしようかと言っているだけであり、現状の問題ではないわけですから。

当ブログではWiMAXにリスクがあると書いており参入には危険が伴っていると判断していますから、準備状況も併せて考えて、まあ手を出さなくても良かったのではないかと思っています。WiMAXで将来の道を切り開くどころか、WiMAXが原因で会社が傾いてしまっては話になりませんから。

アッカはあるいは「1.7Ghz」で手を挙げておくべきだったのではないかという気もします。1.7Ghzは新規キャリアだけに争えばよかったわけですし、そうしていれば落選していたとしてソフトバンクが返上した帯域がアッカのものとなっていたはずです。まあ1.7Ghzを獲得していたとして、最終的にアッカの発展に繋がるかどうかを考えると微妙だと思いますけれども。

まだ2.0Ghzに立候補して割り当てられる可能性が残っていますが、2.0Ghzに手を挙げるとすれば方式からなにから根本的に再検討を行ってからにすべきではないかと思います。2.5Ghzと同じ流れでまた手を挙げると、割り当てられてから炎上してしまう可能性が十分に考えられます。

そうでないのなら、現在のところ本業は順調なようですから、KDDIかウィルコムから回線を借りる方向で頑張っていただくか、モバイルについては諦めて別の事業を模索していただくのが良いかと思います。

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