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770 2.5Ghzシリーズ:ウィルコムがモバイルWiMAXを採用できるかどうかを考えてみていた

というわけで面倒な話題に取り掛かってみたいと思います。

勢いで書いてしまった原稿なので、致命的なミスがないことを願っています。


◆次世代PHSは大勝負

今回の2.5Ghz帯の割り当て結果に不満を持っておられる方には、単に感情論だったり、役所の悪口を言いたいだけの人もおられるようですが、WiMAXがデファクトスタンダードになるかもしれないのに、大丈夫なのかという意見があります。

実のところ私は、最初はそのような意見に近いところがありました。

しかし、モバイルWiMAXがふがいないようであることと、モバイルWiMAXがウィルコムの整備している基地局網や日本で求められる性質に合わないため、

・独自技術(次世代PHS)はリスクである
・しかし、モバイルWiMAXに頼るのもリスク
・商売替えしてHSDPAやLTEになびくのも難しい

というように思っています。とくにウィルコムの存続という意味において上記はそうであると思います。

両方ともリスクなのですが、モバイルWiMAXについては純粋なリスクというか「ダメージをもたらす可能性が主体」なリスクであり、次世代PHSのリスクは失敗もあるが大成功もあり得る投機的リスクなのではないかと思います。

実のところ、私にはどれが正解だったのかはわかりません。しかしいずれにせよ、次世代PHSで勝負をすることになっています。

失敗すれば(たとえばサービスインが延々遅れる、サービスインしたが品質が相当に悪い)となれば、ウィルコムごと滅亡の危機です。

しかし、もし圧倒的に(早期に)緒戦を制して、そのあとうまく立ち回れば、歴史に残るような大勝利をする可能性もあると考えています。

もちろん、どちらでもない「ほどほどの状態」になって次の展開待ちになる可能性が一番高いような気もしますが、それでは面白くないので、どちらかというと大勝利の場合の可能性について考えたような場合書いてみたいと思います。

話が、ぶっ飛んだ感じになりますがそういうわけでご了解ください。

いずれにせよ、失敗→滅亡の可能性も十分あるわけですから、失敗すれば滅亡、しかし大勝利した場合には次世代PHS開発チームの名前が「文字通り歴史に名を刻むことになる可能性」もあるような、とんでもない大勝負の数年間がこれから始まったのではないかという気もしています。

◆数の力

世界標準ではないから不安という点については難しい表現で説明されたりしますが、実際のところ事の本質は簡単で、
「勝ち馬にみんなで乗っかっておく方が良い」
「数の暴力には勝てないことがある」
みんなでインテル帝国の政治力にぶら下がろう、というわけです。

キャリア一社で開発している技術で、インテル帝国+世界の流れに勝てるんですか、というわけです。

あるいは、この思考回路はある種の反射的な思考でもあります。つまり、軽んじてはいけない大原則を示している反面、誰でも引用してわかっている人のふりが簡単にできるということです。


◆しかしながら

というわけで、モバイルWiMAXの話題が勃興してきた時には、私も独自規格でふんばって大丈夫なのだろうかと思っていた次第です。

一般的にはこのあたりの心配は以下のような形で現れていたように思います、

・モバイルWiMAXでいいのではないか?
・次世代PHSはモバイルWiMAXと合流する道を模索してはどうか?

後者については結構事情をわかった上での大人な意見としての提案だったのではないかと思います。

では、逆に考えてみたらどうなのでしょう。モバイルWiMAXをウィルコムが採用して何が起こるのか、あるいは、利用者(日本のユーザ)にとって有難いサービスが提供されるのか。

ここで引っかかるわけです。

しかも、モバイルWiMAXについてその後出てくる具体的な性能に関連する話題は、私の知る限りは悪いものばかりです。
またこれは、前から言っているとおり、もし「モバイルWiMAXはしっかりした技術である」という情報があるのならば、私はすぐにでも見解を変えるつもりで居るのですが。

今や、アメリカでサービスインが難渋し、韓国でも(威勢の良い掛け声とは対照的に)うまく行っておらず、日本と台湾はこれから、欧州は様子見モードで、中国は政府がWiMAXを嫌っています。前提とされている普及の方についても必ずしも順調とは言えません。


◆現在の(ウィルコム)PHS以下の品質は許容されない

KDDIは、あるいは世界の多くのモバイルWiMAX事業者では、結局のところ3G携帯のオマケとして使われるものであって、その程度の品質でよいのかもしれません。

つまり、KDDIにとってはモバイルWiMAXはなんとか大丈夫な範囲のものかもしれません。

しかしウィルコムとしては現在のPHS以下(の品質)を許容することは難しいはずです。昨日、ドコモのPHSが残念ながら停波することになりましたが、ウィルコムが生き残り、ドコモのPHSが生き残れなかった境界線はどこなのかを考えてみてください。


例えば、以下について考えてみましょう。

高速化:まず高速化しなければいけません。
→モバイルWiMAXでも次世代PHSでも、どちらでも高速化する。

エリア:携帯よりエリアに劣ると言われることは長年のPHSの悩み
→モバイルWiMAXはどうも不味い。

ハンドオーバー:PHSは移動に弱いというのが悩み
→モバイルWiMAXは移動に得意だとは思えません。

大容量化:(ウィルコム的な意味での)マイクロセル化
→モバイルWiMAXには無理

既存基地局網(場所)の活用:
→モバイルWiMAXには適さない

長々と書いてもつまらないので、このあたりで切り上げます。

モバイルWiMAXについては、量産効果とかパソコンに標準搭載される可能性などは利点として考えられましょうが、PHSがこれまで何で苦労してきたかを考えるにつけ、ウィルコムがモバイルWiMAXを採用したとして、余計難しい事になってしまう気がしてしまいます。

説明足らずではありますが、「PHSがこれまで何で苦労してきたか」ということがイメージし、モバイルWiMAXに不安視される事をこれらを重ねると、なにか嫌な感じがするのではないかと思います。

ユーザが今ひとつだと思っていた事は何か、キャリアの人が対携帯でどの点で困っていたか、そしてモバイルWiMAXで基地局整備せよと言われて、整備部隊はどう思うかなど。

そして、無線LANが一時期PHSを潰すとか言われつつ、結局全然普及しなかったということも併せて考えてみたりしてみるとどうでしょう。


◆モバイルWiMAXの改良版

モバイルWiMAXはこれから改良して、問題点をなくしたい方向だそうです。

しかし、「問題点が取れたモバイルWiMAX」はいつ完成するのでしょうか。少なくともウィルコムには2.5Ghzの割り当ては遅すぎるくらいに思えますし、できるかも解らない改良版を待っていられるような状況ではありません。

また、日本以外に改良のニーズが無かった場合には、そもそも改良されないかもしれません(この可能性はかなり考えられます)。

さらに、「モバイルWiMAXの改良版」を次世代PHSが実現するとされていることと比べてみると、むしろ「モバイルWiMAX」が「次世代PHS」を採用したほうが早いという気すらしてきます。

以下はほとんど妄想ですが、「モバイルWiMAX」が「次世代PHS」を採用してしまうということは不合理なことではありません。
インテルはクアルコムのような感じで通信技術そのものでの覇権を求めているわけではありません。例えばモバイルWiMAXが瓦解しそうならば、次世代PHSをモバイルWiMAXの規格に「追加」することにするかもしれません。

また、中国政府はモバイルWiMAXが嫌いで既存のCDMAも好きではありません、中国国内には160万のPHS基地局もあります。欧州はモバイルWiMAXには様子見です。次世代PHSが日本で大成功すれば、彼らは良い代替案が見つかったと思うかもしれません。

また、モバイルWiMAXが一部で持ち上げられている理由に「クアルコム帝国領土外」の技術が望まれているということもありますが、次世代PHSも領土外ではありましょう。


◆失われた二年

前回の記事で2.0Ghzで失われた二年が致命的な時間であるかもしれないと書いたのは、このような事にも関連しています。

もし、次世代PHSが既にサービスインして絵に書いたような大成功していた場合と考えた場合、現在モバイルWiMAXの熱が冷めている事と併せて考えてみると、極端な話としてですが、次世代PHSがモバイルWiMAXの命脈を絶っていた可能性すら考えられるためです。

先行できなかったのは残念な事かもしれませんし、この二年の間に重要な見直しが行われいたのならば、これからの勝負でよかったのかも知れませんが。

どちらにせよ、タイムマシンはありませんので、今から可能な事を行うしかないのでしょうけれども。


◆可能性への投資としてはちょうど良いのでは?

2.5Ghz帯のWiMAXに使うには難しい帯域(20Mhz制限付きの帯域)を提供しただけで面白い成果が得られるかもしれないという意味では、ウィルコムへの割り当ては日本にとって「良い投資」ということになるかもしれません。リスク含みながら、場合によっては高いリターンが期待できます。

もしWiMAXに提供していたら、こんな面白いことは起きません。もともと20Mhz幅しかないのですから、WiMAXをやらせていたところで大したことは出来なかったでしょうし。

次世代PHSは他所から見るとモバイルWiMAXへの保険のような存在でもあります。失敗すれば別に失敗しただけ、成功したら選択肢が増える感じではないでしょうか。

例えば、モバイルWiMAXが失敗した場合に、次世代PHSをモバイルWiMAXの規格内に取り込む場合を考えた場合(妄想した場合)などもそうですし、各キャリアについてもそうでしょう。LTEとモバイルWiMAX以外の選択肢が増える事にはなるでしょう。特にLTEはドコモが丸ごと抱えていますから、他陣営にとってLTE対抗策としては役に立つこともあるかもしれません。

例えば(今回ウィルコムを攻撃していた)孫社長が後に次世代PHSに助けられるというような展開も、可能性としては無くはないでしょう。


◆でも不安

他人事としては次世代PHSでの大勝負が始まったのは面白いことでもあるのですが、自分の使っているキャリアが無くなってしまう可能性があるということは不安でもあります。

成功していただく事と、成功した暁に既存ユーザが有難いと思うサービスを行ってくれる事を願うばかりです。

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コメント

次世代PHSをモバイルWiMAXの規格内に取り込む という発想(妄想)は慧眼ですね。
willcomの言に端末のソフトウェア上でデュアル対応できるというのがありましたね。

この逆で、アンテナの方をソフトウェアでXGP方式に用意に変更できるようにしてあれば・・・
「WiMAXの保険」としてもインフラ投資をドブに捨てなくてすむし、willcomに売っぱらうことも可能かも。

そういやKDDI陣営には京セラもいましたね。willcom用の技術も持ち合わせる京セラがXGP転用可能なインフラを構築したら・・・「獅子身中の虫」でありますな(妄想悪化中)

投稿: TT | 2008/01/08 20:20

データ通信は音声に比べユーザにとっては、携帯:PHSの垣根が低いと思います。Wの客がイモバやauデータ定額に簡単に奪われているのがその証左です。
ならば3Gの補完(非音声)にWiMAXではなくXGPを、という手段もあるかも。

「孫社長が後に次世代PHSに助けられるというような展開も」 <ありえます。ディズニーのMVNOを障害なくつつがなく行えるインフラ構築してるのかしら。
これをXGPが孫受けしたらMVNOの入れ子構造で奇妙ですね。

投稿: TT | 2008/01/08 20:43

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