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769 2.5Ghzシリーズ:KDDIはモバイルWiMAXと、LTEとUMBを天秤にかける

ここで一度、KDDIのことを書いてみたいと思います。


◆KDDIはモバイルWiMAXに熱心なのは確かなのですが

KDDIはモバイルWiMAXに熱心でした。初期からモバイルWiMAXに入れ込み、その結果として今回の帯域獲得があるようなところがあります。

ですが、KDDIにとってのモバイルWiMAXの立場は、簡単ではないように思われます。


◆3.9世代の計画が立てられていないAU/KDDI

KDDIはこれまでCDMA2000、つまりクアルコム陣営の技術を使ってきました。

新参者が作っているCDMA2000なんかより、有力会社が連合して作っているW-CDMAが勝利するとか、クアルコムのCDMAの特許を突破してW-CDMAを作れるとか言われたそうですが、結果としては序盤ではCDMA2000が技術的には圧勝となりました。結局W-CDMAもクアルコムの特許から逃れる事は出来ませんでした。

新参者だから/あんな小さい勢力が成功しないだろうとか思っていたけれど、そういうことになったという良い教訓です。今やクアルコムは携帯電話業界の支配者です。

AUは初期FOMAの惨状で立ち往生するドコモをよそに、CDMA2000で快進撃を始めます。
そして、ドコモが混乱の収拾に手間取っている中、EV-DO(3.5世代)をサービスインします。「WIN」が登場し、AUのパケット定額が開始された時です。ドコモが3.5世代を開始できたのは、それからなんとおよそ2年後になります。
そして、AUは現在EV-DO Rev.A(3.7世代)をサービスインしています。ドコモはまだサービスインできていません。しかし差は確実に縮まってきています。

このように序盤ではAUが技術的に圧倒的リードを保ってきたのですが、その差は縮まってきています。そして、3.9世代/Super3Gについては、ドコモがLTE(W-CDMA系の3.9世代)の開発に自身で関わりつつサービスインの計画を立てているのに対し、AUは3.9世代についての計画が立てられていません。このままだと逆転される流れです。


◆選択肢

クアルコムは3.9世代として、UMBというものを開発しているのですが、なんとまあ、これを採用しようとするところが世界的にあまりに無い状況です。ちなみにUMBは今回の2.5Ghzで技術の候補としては上げられていた、クアルコムのIEEE802.20系の親戚です。

一方でLTEは勢いをつけて順調に進みつつあります。日本国内でも今年か来年には話題になり始めることでしょう。

実際に実力がわかっていないものを売り文句だけで信用するのはあまりよろしくありませんが、しかしどうやら自身ありげのようですから、まあ悪くは無い状態なのでしょう。

また、UMBですが、現在KDDIがサービス中のEV-DO RevAとは色々と互換性が無く、根本的に整備しなおしをしなければならないようです。よって、同じクアルコムの技術だから楽ができるということもあまり無さそうです。さらに悪い事に、今のところ採用しそうなところが世界的にほとんど無さそうな流れです。

こういう事情があり、KDDIはLTEとUMBのどちらを取るか迷っているとか。

そしてさらには、これらとは全く別世界、インテルが作っているモバイルWiMAXに入れ込んでもいるわけです。こちらについては現状のものはともかく、改良版のモバイルWiMAXが立派に仕上がる可能性も無くは無いわけです。

すると、こういうことになります。

KDDIは迷い中
・W-CDMA陣営:LTE
・クアルコム:UMB
・インテル:モバイルWiMAXあるいはモバイルWiMAX改

現時点ではKDDIは全く考慮外でしょうが、次世代PHSとも京セラ絡みで繋がっていなくは無いので、四つ目の選択肢がある、とさえ言えることになります。


◆KDDIがモバイルWiMAXを捨てることも

ほぼ確実なのは、LTEとUMBを同時に採用する事は無いだろうという事です。それはナンセンスに思えますから。

モバイルWiMAXですが、現在は「携帯ネットワークの補完用であります」と言っています。というわけで、現在の状況のままではモバイルWiMAXがLTEやUMBの代わりをすることは無さそうです。

ですが、モバイルWiMAXが大化けした場合はそういう選択肢を取る事もあるかもしれません。

よって、KDDIはしばらく様子見をしなければならないと思います。

・現状のモバイルWiMAXはどの程度実用に耐えうるものか
・モバイルWiMAXの改良はどうなるのか?
・ドコモが繰り出してくるLTEはどの程度の完成度か
・それらと比べてUMBをとるメリットデメリットは?

これらが明らかになるまでにはKDDIは態度をはっきりする事が出来ないと思われます。あるいは、見切り発車することになりましょう。

もし現状のモバイルWiMAXが駄目で、なおかつモバイルWiMAXの改良に目処が立たず、LTEが素晴らしい出来だった場合には、KDDIはモバイルWiMAXに見切りをつけてLTEに乗り換えることになりましょう。

もし、モバイルWiMAXが予想外の勢いで改良され、LTEが欠陥持ちとして登場した場合には、モバイルWiMAXに本腰を入れることになりましょう。

どっちも炎上していた場合にはUMBかもしれませんし、他にも、はっきりと結論を下せない状況になってしまったのなら、例えばモバイルWiMAXと既存のCDMA2000網など、モバイルWiMAXとLTEなどの手札の組み合わせでの様子見を続ける事になるのかもしれません。


◆しばらくは2.5Ghzには全力勝負は出来ない?

このように様子見の必要がありますし、モバイルWiMAXに力を入れるにしても結局期待するのは「モバイルWiMAXの改良版」なわけですから、今すぐには全力で投資してもなんだか良く無さそうです。
場合によっては、モバイルWiMAXは事実上お蔵入りとなるようなこともあるでしょう。最悪の場合、世界がモバイルWiMAX自体を見捨ててしまったので、可哀想な東アジアだけで盲腸のようにサービスが続くような事も無くはありません。

ウィルコムにとっては2.5Ghzは文字通り全力勝負するしかありません。必死でやるしかありません。サボる理由はどこにもありません。

しかしKDDIは適度なところまでは努力するとしても、そこからは牛歩戦術を取らなければならないようにも思えます。時間が経たないとどうするか決められないからです。


そこで孫社長の登場となるかもしれません、KDDIは2Ghzに続いて2.5Ghzも遊ばせていてけしからんとか言い出すわけです。もちろん、理由は全部わかっている上で。

あるいはある人ならこういうでしょうか、「KDDIは少しズルいのでは」。

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コメント

「自身ありげ」ですが,「自信ありげ」のまちがいですよね。細かいところですが。
質問ですが,ドコモがLTEやる場合,電波帯域はどうするのでしょうか。既存のW-CDMA向けの帯域を転用するのでしょうか。それとも新規の電波帯域を利用するのでしょうか。後者の場合,割当を巡って,いろいろと騒ぐ方がいらっしゃるので,またもめそうですね(笑)。

投稿: suu | 2008/01/09 10:15

WiMAXの扱いがEV-DOの補完(ネクスト決定までの延命)ならば、WiMAXの敵はXGPでもなんでもなくて、自身のあやふやさその物ということでしょうかね。
ネクストのあやふやさがWiMAXの完成も普及も阻害するような。

でもWiMAXの使命が「あまり高額を掛けきれない保険」であれば、もっと安く上げるためにXGPとWiMAXが相互にMVNOする
「2.5Ghz帯の大連立」をして始めちゃえばどうですか。
ソフトウェアでデュアル端末可能なら、
端末ははじめからすべて共通のもの(白ロム的な存在)で、どっちかに、あるいは両方と契約して使える。

端末の開発もスケールメリットが効いてくるし。エリアも2倍速で広がる(?)ので。

KDDIとしてもWiMAX撤退を軟着陸しやすくなりませんか。

投稿: TT | 2008/01/11 22:44

「2.5Ghz帯の大連立」で700/900Mhz帯の本命?LTEドコモを撃て!
となるかは分かりませんが、目前のフェムト戦術に対抗する使命をWiMAXは負うものと思います。

CDMA2000がフェムト戦術を取れない以上、他社のフェムトにどう対抗すべきか。SBはホワイト定額を24時間化するだろうし、データ定額にも乗り出すはず。

投稿: TT | 2008/01/11 23:07

「大連立」ウィルコムのメリットはエリアの他には何かな。

他社の割賦・インセでW-SIMが挿せるジャケットがユーザの手元に残ることかな。

投稿: TT | 2008/01/11 23:13

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