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764 スプリント(アメリカ)がモバイルWiMAXをやめるかも?という記事

前回の記事、
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/765_cdma2000kdd_339e.html
の続きを書きたいと思います。


◆スプリント

つまりのところモバイルWiMAXは、アメリカのスプリントと韓国と台湾程度だということです。この中で、サービスインしているのは韓国ですが(ただしWiMAXではなくてWiBro)、うまくいっているとは言い難い状態に思えます。

そしてスプリントなのですが、先に書いたようにCDMA2000陣営でKDDIと似た境遇にもあります。そして、スプリントは「うまくいっている携帯電話会社」ではなく、どちらかというと炎上中の電話会社です。

(炎上中の)電話会社が話題のモバイルWiMAXに注力すると言って話題になり、モバイルWiMAXがもたらず美しい未来図を考えてみました。しかしこのところになってきて、モバイルWiMAXも炎上してるのではないですかとか、画期的に安くて済むと言っていたのにサービスインにかかる費用がえらく高いんじゃないでしょうかとか、LTEの方が確実で安いんじゃないですかとか、まあそんな話が出てきています。

アメリカは動く時は一気に動いて変化してしまいます。例えば、ちょっと前まで「二酸化炭素の排出制限なんて知るか馬鹿」と言っていた国が、今やインチキレベルのエタノールバブルですから。

今のところサービスインする計画なのですが、

Sprint Nextel、年内にWiMAXサービスを開始
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0801/10/news015.html

今年後半には米国内の一部都市で商業サービスを開始する計画という。

「今年後半」なのです。こういう期限設定がされていて、しかも話題が炎上気味の時には2009年に持ち越しになる事も多い、というのはいろんな「発売延期」で困った事のある人ならよく解っているはずです。

2008年頭の発表で、急ぎの話題で「今年の年末」と言う場合、来年にしてしまうとまずいと思ったので今年中にとりあえずしてみたということがありますから。

これでは、場合によってはKDDIが逆転しかねません。


◆スプリントはモバイルWiMAXをやめるかも?という記事

アメリカの記事を翻訳した記事で、スプリントの苦境とモバイルWiMAXの見直しがなされる可能性についてかかれた記事があります。

苦境スプリントに新CEO
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080109/144530/

どこかの誰かがこういう記事を書いたというだけで、これが必ず真実だというわけではありません。たとえば、英語の記事(や酷い場合になると英語のブログ)をそのまま引用したり翻訳したりして、すっかり自分の意見のふりをしている人が居ますけれども、そういう意図は全然無いという事を最初に断っておきます。

と、念を押した上で引用をします。私の意図しないレベルの破壊力があるので。

■「WiMAX」のインフラ整備計画は抜本的に見直し?

分析力と決断力を併せ持った、CEOにうってつけの人物――。アナリストたちはヘッセ氏をそう評価する。経営に注力するには、前任者が着手した計画の中止も必要となるかもしれない。打ち切り候補に挙がっているのが、高速インターネット接続のための技術、WiMAXを使った新ネットワークの構築計画だ。

国内の主要無線通信事業者の中で、WiMAXを推進しているのはスプリント1社だけ。ほかの事業者は競合技術「LTE(ロング・ターム・エヴォリューション)」の導入に動いているもようだ。「LTEに乗り換えれば、新ネットワークの構築費も低く抑えることができ、新端末の購入でも規模の経済の恩恵を受けられる」とアナリストは言う。「WiMAX計画を進める余裕などスプリントにはないはずだ」と、米ファルコン・ポイント・キャピタルの常務取締役、マイケル・マホーニー氏は見ている。

どうです、「打ち切り候補」なんですよ。モバイルWiMAXをサービスインしないと日本だけ世界から取り残される意見がありますが、もしスプリントがモバイルWiMAXをやめちゃったら、韓国と台湾だけなのです。

また、「WiMAXを推進しているのはスプリント1社だけ」で他の会社はLTEに進もうとしており、「LTEの方がネットワーク構築費も安い」と書かれています。モバイルWiMAXなら画期的に安く済むという意見は話題がバブルだった頃の話で、今ではもう吹き飛んでいるようです。しかも「規模の経済」という単語、つまりグローバルスタンダードだから云々については、LTEの方がより良い選択肢だと言っています。

そして前の記事で既に書いたようにスプリントは「CDMA2000陣営」なので、LTEへの乗り換えは他陣営(W-CDMA陣営)への乗り換えになり、コスト面で特に有利でもないのです。にもかかわらず、モバイルWiMAX止めろコールは少なくとも存在するというわけです。

一応書いておくと、KDDIが(建前上?)言うように、モバイルWiMAXとLTEなどはそもそも別カテゴリであって比較するものではなく、この記事はピント外れなのかもしれません。あるいは適当に書き飛ばされた記事だという可能性もあります。

まあしかし、なんとなくモバイルWiMAXへの熱狂が冷めてしまっているのは大きな傾向ではあると思います。期待されすぎだった面が当然あって、それが是正されている面もあると思うのですが。

もし他に、スプリント(とかモバイルWiMAX)の困り加減をうまく伝えている記事があったら教えていただきたいと思います。最近の記事では色々あるのではないかという気もします。


◆念を押しておきますと

この上で念を押して起きますと、私はモバイルWiMAXへの一般的傾向としての過剰評価には釘を差すものでありますが(そして何度も書いているとおり、モバイルWiMAXの評価を改めるべき新証拠が出てきたらこれも引っ込めるつもりでおります)、まだ今後どうなるかについては解らない事があります。

モバイルWiMAXはもう駄目だ、と思っている人も居ると思うのですが、私は、数の力で化けたりインテル帝国の政治力で何かが起こったりする可能性についてはまだ無視できないと思っています。例えば、LTEが滅んでモバイルWiMAXが世界中を覆っているような未来だって無くは無いとは思います。でも、その可能性が高いかという話はまた別ですが。


(続く)

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コメント

モバイルWiMAXに始まる前から大ゴケされるのは、ウィルコムにとってもあまり嬉しくないんじゃないでしょうか。

WiMAXの規模の経済に相乗りしつつ、性能ではWiMAXを圧倒する、というのが次世代PHSの戦略だと思いますが、肝心のWiMAXに敵前逃亡されると、助走無しでいきなりLTEと対峙する羽目になってしまいます。

投稿: | 2008/01/13 23:59

WiMAXをサービスインしない or しても牛歩戦術だったら孫先生ブチ切れちゃうかも。

それ以前に出資企業に大損ブッこかせることになるのでは。炎上が怖くて何もしない、は無いと思いますが。単独申請なら楽だったのに。

そんときアッカ、イーアクセスはどうするのでしょうね。NGNが始まる前に、WiMAXでラスト1マイルを埋める(あわよくばイモバ的なビジネスに鞍替え)予定が立たなくなってしまいますが。

投稿: TT | 2008/01/14 08:22

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