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761 エァプルの発表を待ちながら、今さら「PSE騒動」を回顧しつつ、ホワイトリスト問題について説明

どうも皆様。また2.5Ghz関連とは違う話題です。


◆待っている理由

もうちょっとしたら、スティーブジョブスという人がアメリカで面白いことをいう行事があって、それで日本のほうでも色々と悲喜こもごもになる筈です。そして、予想される発表の中には、このブログ的なネタもあるであろうことから、すぐ記事を書くつもりで準備しておりました。

しかし、発表時間を私に教えた奴がインチキ時間を教えてしまっていたため、執筆しようと思ったところスティーブジョブスがオモロイ事をいう行事はまだこれからだったということで、しょうがないので別のネタを書いてみたいと思います。

従来とは毛色の違うネタですが、それなりに面白いはずです。そして、一見脱線に見えて、最終的には携帯っぽいネタにも接続します。


◆改正されたPSE法が施行されたらしい

数年前になりますか、PSE法というもので結構な騒動になったことがありました。あれの改正版が2007年末にとうとう施行状態になったようです。

電気安全なんたらの法律でPSEマークを取っていない機器は販売まかりならんということになり、そして古い機器の中古販売などが事実上できなくなってしまうという法律でした。ネットで火がついて大騒ぎになり、最終的に国のすることが代わってしまったという意味でも、結構注目すべき事件でした。

「ビンテージ機器殲滅法案」とでもいいましょうか、電子楽器やゲーム機などの中古販売がPSEマーク無しでは無理、となりまして、反対意見が爆発し中古楽器関係などでは一部投売り現象が発生したりもしました。

私は騒動が大規模化したのを見て、これは撤回されるだろうと確信しましたので、投売りになっている機器を買い占めて後に再放出すれば儲かるチャンスではないかとすら思いました。そして実際そのようでした。

お役人は一度決めた事を無しにすると誰かの責任問題になって嫌なのでしょうか、最初は一部電子楽器等をホワイトリスト方式で公認ビンテージにし、それらを例外扱いにして大勢を維持しようとしましたが、いかにも批判かわしの小細工であるので世間に怒られ、結局は常識的なところに落ち着いた・・筈であると聞いています(もしそうじゃなかったら教えてください)。

2.5Ghz割り当ての際にもこの騒動の事を少し思い返してみたりはしておりました。ただしPSE騒動では失敗が話題の種でしたが、2.5Ghzの割り当てにおいては総務省がちゃんと対応するか(あるいはそれぞれの人がそのようの思えるかどうか)どうかがポイントでしたが。


◆公認ビンテージ機器リストを見て遊ぶ

以上は長い枕でして、結局お流れになった「公認ビンテージ機器リスト」のことを書いてみようと思った次第です。これも実はブログに投稿しようと思っていた事もあるネタでした。

そもそも手法自体があまり褒められた方法ではなかったのですが、「公認ビンテージ機器リスト」に掲載されている機器名がなんとも変な感じで、それでも怒られておりました。

役所の作った一覧表(PDF注意)
http://www.meti.go.jp/press/20060330004/vintage-list-set.pdf

電子楽器のことを知っている人が見たら何かよく解らんことになっていると思うのではないかというリストです。有名なところ、たとえばRolandやYAMAHAで話をすると一番良いのですが何せリストが長いので(一度説明しようとしてあまりに長くなって挫折した)、説明にちょうど良いKAWAIを引用し、さらに一部について説明をしてみたいと思います。

載っているものを全て引っ張ってくると、掲載数だけからしても明らかに少なすぎる以下のとおりになります。

K1II / K1r / K3 / K4 / K5000R / MAV-8 / MIDI Key II / MP9500 / Q-80 / Q-80 EX / XD-5 / XS-1 / EQ-8

全部の機材について説明するときりが無いので(そして私も全てすっかりわからないので)、メインストリーム?と思えるあたりについて説明(というか羅列だけ)をしたいと思います。つまり、以下の説明に出てくるもので全てではありません。


◆KAWAIの電子楽器の歴史(なぜか)

以下、大半の人はほとんど意味がわからないと思いますが、斜め読みしてください。実のところ以下の説明もそんなに詳しいわけでもありませんが(思いっきり割愛もしました)。

大まかに言って、K3系→K5系→K1系→K4系→K11系(GMega)→K5000系という流れがKAWAIのシンセサイザーの歴史です。

"K3"はデジタル化したアナログシンセでした。KORGのDW8000などと同じような設計で、アナログシンセの処理の前段(波形を出す部分)をデジタル化して、デジタル化の難しいフィルター部分はアナログのままのシンセでした。ヤマハがFM音源帝国を築いている裏側でのシンセでした。鍵盤無しの"K3m"というものがあり、これがまずリストから落ちています。

"K5"は音色の倍音の成分の分量を自分で完全に指定できるという、一種マモノののような機材でした。これも鍵盤無しの"K5m"というものがありました。両方ともリストから抜けています。

次に、フルデジタルなのだがフィルターが無いという変な設計のK1系が発売されます。最初は"K1"と"K1m"が発売され、そして時代の流れが「一台で全部の演奏ができる」という時代になったので、付け焼刃的に改良されたと思われる"K1 II"と"K1r"(鍵盤無しのラック)が発売されます。K1/K1mがリストから落ちています。さらに同じ音源を流用したPHmというものもあったはずですがこれも落ちています。

次に出てきたのが、フルデジタル(PCMで)でかなり効くフィルターを装備したK4でした。これはK4とK4rがあるのですが、K4rがリストから落ちています。さらに同じ音源をバージョンダウンさせて流用の軽量鍵盤のKC10というものも確か出ていますがこれも落ちています。

次に、K4のエンジンをさらに改良したと思われるもので、DTM音源時代に発売されたGMega(DTM音源)と鍵盤のついているK11が発売され、さらにGMegaLXやGMouse、KC20というものも音源流用で出ていたはずです。全部リストにありません。

最後に、波形の倍音成分を独自の感じ(他社のシンセには全くない機構で)でいじったりできる、K5000シリーズが出て、残念ながら撤退となります。最低限、K5000S/K5000W/K5000Rの三種類があるのですが、一つしか載っていません。
そして、K5000は98年くらい?の楽器で結構新しいのですが、他社をみると新しいのが載っていなかったりします。

暗号のような説明が続いてすみませんでしたが、リストのクオリティには相当な問題があることが解っていただけたかと思います。ほとんど話にならないレベルです。

ちなみに、ヤマハやローランドで同じ作業をするとすごい事になります。


◆ホワイトリスト方式の問題点とも言える

思い出してみれば、最近子供の携帯が繋がるサイトを規制したいとかで「許可するサイトにだけ接続できるようにする」という案が出ていますが、許可するものだけOK方式(ホワイトリスト方式)では、こういう駄目な事になっちゃうことがあるという例でもあるのではないかとも思います。

この記事を読まれた方は上記機材の知識は無いと思うのですが、もしあったとしたらこうなります。最初のまま法律が通っていれば、このリストに無いものは事実上販売禁止になっていたわけでして、
「ちょっとまってくれ、なんであの機材を日本から消し去るんだ!」
となっていたことは確実です。

というわけで、今後色々な規制の際に一番しっかりしていると思えるというような理由で「ホワイトリスト方式」が出てくる事があると思うのですが、その時にはこのような事を思い出していただければよいかなと思います。こういう馬鹿馬鹿しい事になりがちであるっていうことです。

ちなみに日本のいろんな規制はこの方式になりがちのようです。困った話です。

頭の隅にあると役に立つ事もあるかもしれません。


補足:

上記の機材の説明部分をもっときちんと読みたいという人がいたら書いても良いかなとも思ったりもしました(あるいは勝手にどこかで始めてしまうかもしれません)。

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