« WX330K/WX331Kのバックグラウンド受信問題の標準的ではない解決方法 | トップページ | 749 続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営 »

750 読めばわかる(はず)「WiMAX陣営の代表四社」

モバイルWiMAXの陣営そのものについての説明を意外と書き忘れていたなと思いまして、記事にしてみる次第です。

たいしたことは書いていない(あるいはたいしたことは書けない)と思いますが、パッと読めば最低限解るくらいにはなるかなと思います。


◆「WiMAX四社」とその温度差

WiMAX陣営というと、次の四社が代表的なところだとされる気がします。

・インテル(Intel)
・サムスン(Samsung)
・モトローラ(Motorola)
・ノキア(Nokia)

違う意見もあるようですが、概ねこの四つが代表格ということになっている事が多いようです。

まずこの四社について、それぞれ立場が色々と違うと思われるというあたりを書いてみたいと思います。実はこの四社、それぞれの思惑が色々と違うように思われます。

#多分色々間違っていると思うけどそのあたりは勘弁してください。

◆インテル:ラスボスだが必死さは無い

まずインテルですが、WiMAXの代表と言えるのはこのインテルです。以前こういう記事を書きました。

783 WiMaxブームの理由
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2007/10/783_wimax_a717.html

2.5Ghz割り当て決定前でしたので、割と遠慮気味に書いていまして歯切れが悪かったりする点はあるかもしれません。

上記の記事で書いたとおり、WiMAXがブームとなった一番の推進力は「インテルの巨大な政治力」にあります。それはつまり、パソコンがどんな機能を備えるかについてのインテルの支配力のことでもあります。インテル様が「WiMAXやります、将来のパソコンは基本的にWiMAXに対応させたいです」と言った故の騒動であります。

注意して欲しいのは、上記記事でも書いたように、モバイルWiMAXと固定用WiMAXは区別してほしいということです。また、モバイルWiMAXが技術的に非常に優れていると評している人がなぜかあちこちに居ますが、それは不正確であると言った方が良いと思います。この騒動の原資はインテルの政治力です。

事の発端はインテルがパソコン繋がりで無線LAN方面に手を出してみたいと思った事だったはずです。インテル帝国の版図を拡大したかったのでしょう。しかし、そこから(実用化を伴わずに)話がいろんな方向に膨張して最終的にモバイルWiMAX騒動になっていました(詳しくは上記記事などこれまでに書いた記事を)。

インテルは別に電話会社になりたいわけでも、クアルコムを打ち倒して後釜に座りたいわけでもなかったはずです。ただ、インテルのチップセットに隣接したところに手を出してみただけのことで。

インテルはWiMAXのラスボスなんですけれども、しかし実のところ無線技術での戦いと利害関係が直結していないようなところがあります。ですからこのボスは、嫌になったらやめちゃったり敵と仲直りしたりする恐れがあるのではないかと私は思っています。

ラスボスなのに「ラスボスは逃げた」「ラスボスは仲間に入りたそうにしている」とか。まあ、それで良いんでしょうけど。


◆サムスン:とにかく騒いで話題を大きくした

ここはモバイルWiMAXで一番騒いでいるところに思えます。なにしろ、WiMAXの集まりで「モバイルWiMAXはどういう規格にしましょう?」と相談をしている段階で、まだ出来ていないモバイルWiMAXのような「WiBro」を先に作ってしまい、それを国策でサービスインして世界初です、とやってしまったくらいです。
こうやって書いたら一行ですが、実際にそんな事を行うのは大変なことで、それをやってしまったわけですから。

しかし野望のとおり行かなかったというか、先に作ったWiBroをそのまま正式なモバイルWiMAXにすることは出来ませんでしたし、世界初のサービスインも成功例とはならず、むしろ世界初の「サービスインしたけれど成功していない例」となりました。今でも「エリアが狭くて使い物にならない」とかなんとか言われて、加入者は少ない状態だそうで。

サムスンがモバイルWiMAXに手を出して大騒ぎしたことで、モバイルWiMAXの話題が一気に加速した面もあると思います。特に一時期に話題がバブル状態にまでなったのには関係していると思います。残念だったとすれば、実際に出てきたものがその期待に添うものではなかったということでしょうか。


◆モトローラ:WiMAXを育ててきた

モトローラはWiMAXに初期から関わっていて、WiMAXがあれこれを経て、モバイルWiMAXに発展(あるいは道を踏み外す)までの活動に一緒にくっついて活動を続けています。

モトローラはGSM御三家の一角です。そしてアメリカの企業です。CPUのイメージが強い人も居ると思うのですが、元々は無線機の会社で、かの有名なアームストロング船長の「私にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」を中継した無線機はモトローラ製だそうです。

ただし、モトローラはモバイルWiMAXについては多少ながら距離感をもって接しているのではないかという気もします。


◆ノキア:実は二股

ノキアはモバイルWiMAXには一歩距離を置いています。何しろ、LTEと二股をかけているような次第です。

モバイルWiMAXと従来からの携帯技術は互いに住みわけますという、どちらかというと腰の引けた事を言っているように思えます。例えば、KDDIのモバイルWiMAXに対する姿勢と似ているように思います。


http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0705/29/news054.html

「新しく始まるWiMAXと既存の携帯電話システムの延長上に当たるLTEは、相互に補完し合う関係として、すみ分けがなされるだろう」と説明し、それぞれに独自の市場展開を図る考えを明らかにした。

旗色が悪くなったらあっさり逃げ出す可能性もあると思われます。


◆まとめと続き

四社が一枚岩であるように語られる事もあるようですが、それぞれ考えている事がかなり違うように思っています。また、他にもWiMAX関係企業は実際には山ほどありまして、この四社だけを解っても全部ではありませんが、まあ代表とか言われる事が多いようであることと、記事にしやすかったので書いてみました。

長くなったので別の記事(恐らく次の記事)にわけますが、次は「モバイルWiMAXを嫌っている代表的なところ」について書いてみたいと思います。テーマがテーマだけに、今日の記事よりもちょっと面白い感じにはなりそうです。


(続く)

|

« WX330K/WX331Kのバックグラウンド受信問題の標準的ではない解決方法 | トップページ | 749 続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 750 読めばわかる(はず)「WiMAX陣営の代表四社」:

« WX330K/WX331Kのバックグラウンド受信問題の標準的ではない解決方法 | トップページ | 749 続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営 »