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748 さらに続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営(2)

それでは前回の記事の続きです。

749 続き:モバイルWiMAXを嫌っている/避けている陣営
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/749_wimax_f209.html

クアルコムについての説明をしましたので、残りに取り掛かりたいと思います。


◆エリクソン

エリクソン(Ericsson)というとソニーエリクソン、いわゆるソニエリしか思い浮かばない人も居ると思うのですが、エリクソンはスウェーデンの巨大通信会社で、携帯方面では世界屈指の巨人メーカです。ソニエリはエリクソンの端末部門だったものです。

ノーベル賞とかABBAとか寒いとかエロいとかそんな感じのスウェーデンですが、エリクソンはスウェーデンを代表する企業です。エリクソンはGSMの本部のようなところであり、W-CDMA陣営の主要メンバーであり、LTEに関わっています。

エリクソンはモバイルWiMAXについては厳しい評価をしています。

エリクソン首脳、これからのモバイルブロードバンドを語る
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/36233.html

HSPA(つまり3.5/3.7世代)の方が良くないでしょうか?と言っています。せいぜいのところHSPAと同じ程度のものをこれから展開してどうするんだと言っています。LTEなどの他の次世代技術との比較ではなくて、現行技術の方が良くないですかと言っているわけです。文面は穏やかですが、その主張はクアルコムと同じくしており結構な評価です。
また「モバイルWiMAXはせいぜいが3Gの補完程度の存在だろう」ということも言っていて、これはこれまでに他で何回も出てきた指摘とまあ一致するわけです。

上記は割と最近の記事なのですが、モバイルWiMAXバブルな時期からエリクソンは「モバイルWiMAXは技術的ポテンシャルが無い」というような事を言っています。

また、エリクソンですが、以前KDDIについての記事に書いた時にも出てきています。

766 エリクソン曰く、「KDDIもLTE陣営に来ませんか?」
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/766_kddilte_9aab.html
765 迷子のCDMA2000陣営(含むKDDI/au)
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2008/01/765_cdma2000kdd_339e.html

上記の記事の元記事でも、「KDDIはUMBもモバイルWiMAXもやめてLTEに来ませんか?」というエリクソンの主張があります。


◆中国政府

モバイルWiMAXはITU(世界中の電話関係者の集まりみたいなところ)で3G規格として承認されているのですが、承認するかどうかを決める際に、中国政府が思いっきり反対しています。

ちなみに、2.5Ghzから2.0Ghzに移動しろ論争があった時に、ウィルコム側が「前回の2.0Ghzの割り当てでは3G規格しか駄目だといって候補になれなかった、モバイルWiMAXは3G規格なんだからソフトバンクさんこそ2.0Ghzに移動してはどうですか」とやり返したことがありましたが、これはモバイルWiMAXが「一応」は3G規格だということを使った嫌味でした。

ちなみに、同じく3G規格として認められているものは以下です。

・CDMA2000
・W-CDMA
・TD-SCDMA
・モバイルWiMAX

CDMA2000はクアルコム規格あるいは米国規格の3Gとでも言えるもので、W-CDMAは日欧規格の3Gとでも言えるものです。この二つについては説明を省略します。

TD-SCDMAというのは、中国政府などが国策で開発した第三の第三世代技術です。まだサービスインはしておらず、現在サービスインを控えている状態です。

モバイルWiMAXは最後に第三世代として認められています。

中国が反対した理由としてよく言われているのは、TD-SCDMAのライバル技術だから潰したかったのだろうという観測です。モバイルWiMAXにはアメリカの色がありますから、米中対決のような風にも言われていました。

中国政府の主張した反対理由は、モバイルWiMAXが技術的に未熟であるために標準として認めるに値しないというものだったようで、主張内容については実のところ他の批判勢力と同じものだったようです。また、アメリカは別として他国についてもモバイルWiMAXを良い技術であるとして歓迎したかというとちょっと微妙な空気ではあったようです。

中国政府は実質上モバイルWiMAXが中国大陸には入って来れないようにすると見られています。一方でTD-SCDMAはもうすぐサービスインが迫っている状態です。TD-SCDMAも技術としては厳しいのではないかと思う点がありますし、ましてやLTEの足音が聞こえている状況です(これはモバイルWiMAXも同様ですが)。

モバイルWiMAXを政治的に嫌っており、なおかつ技術的に微妙であり、その上、世界的に普及するかどうかについても怪しくなってきているというのが、中国から見たモバイルWiMAXの状況かなと思います。

欧州もモバイルWiMAXについて様子見の状態ですから、結局は中国のこの姿勢は最初から最後まで正解となる可能性もあります。


◆その他

その他についても少し書いておきます。

ウィルコムですが、ウィルコムもモバイルWiMAXについてどうやら検討を行った事があったようですが、にもかかわらずわざわざ大変な独自技術の道を選んでいます。これは駄目だと判断したのでしょう。

ドコモですが、皆さんご存知のとおり、2.5Ghz帯割り当てにおいては何ら帯域に対する執着心を見せませんでした。存在感ゼロでした。存在感が薄かったアッカの陰にすらすっかり隠れるようなステルス並みの存在感の無さでした。

ドコモがモバイルWiMAXには良いところがあると思っているならばこのリアクションは(通常の理解では)あり得ないわけでして、ドコモも消極的に「モバイルWiMAXは評価に値しない」と表明したようなものということでしょう。


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また長くなったので、続きは(恐らく)次の記事で。

(続く)

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