808 「100万超え請求→定額検討を!」の幼稚さ
書かないでおこうかなー、と思ったけど書きます。
◆「百万円ですって、なんて恐いんでしょ」
「定額制のはずなのに、100万を超える請求がきちゃった」というニュースが「なぜか今さら」大はやりしておりました。まさに今さらです。auがWINを開始してから何年になりましょうか、WIN開始時から、この手の勘違いはずっと存在していました。
それがなぜか今ごろになってクローズアップされています。
記事が作られた流れは感じなのかなと思います。
彼が思つた事:
定額制だと聞いていたのにパソコンにつないだらとんでもない金額の請求が来た、聞いてみるとパソコンにつないだら定額ではないのだと言う、なんと紛らわしいことであるか。こんなことで消費者が携帯電話会社からの被害を受けることはあってはならないことである。
そもそも、電話機だけでは定額であるのにどうしてパソコンでは定額ではないのであるか、携帯電話会社は強欲にもパソコンだけ定額にしていないためにこのような事態が発生しているのであり、これは改善されるべきであり、ということは当然見直しの風潮であるはずである。
というわけで、
記事:
・「100万円」というショッキングな見出し
・「定額制なのに」
・消費生活センター
・「○○さんは就職活動のため」などと書くと、いたいけな小市民が良い感じのことをしようとして犠牲になった悲劇に見える
・「携帯電話会社も定額にするよう検討している」と携帯電話会社も正義の指摘を受けて、とうとう辛抱ならぬので重い腰を挙げつつある感じで、イーなんとかの参入とか、FOMAがなんとかとかそういえばどっかで聞いたし・・
正味の話、就職活動の情報を調べる程度のトラフィックで100万円超えるんだろうか?という気がしたりしますが、これは、「正しくて弱者の市民」と「強欲な携帯電話会社」との対立図式を補強するための何かで、おそらく事実に即している(そう言う主張をしている人があり、なおかつ実際にそうであることを確認した記事である)わけでは無いだろうと思います。
◆パソコン定額は難しい
記事を書いた人は、「端末で出来るのに、どうしてパソコンを繋いだとたんに定額にならないんだ、そんなのおかしいじゃないか、ぼったくりだ!」という初歩的ミスをしたまま記事を書いたと思われます。
このような見識の人がマスコミで高給取りをやっているのはどうなんでしょう。
解っている人には当たり前すぎる話ですが、携帯電話の端末限定の定額とパソコンの定額では難易度が違いすぎます、このブログでお馴染みの記事ですが、
この一連の記事あたりに書いてあるとおりの難題があり、あえて言うならば端末での定額の方が例外的に実現しているだけなのであって、パソコンを定額にしていないのはぼったくりではないのです。
つまりのところ、端末限定の定額を提供するコストと、パソコンの定額を提供するコストは別次元になってしまうという技術的理由があるということで、ということはどういうことかというと、
・端末限定の定額コース
と
・パソコンも含む定額コース
は「異次元な感じで違う料金」にせざるをえない(あるいはパソコン定額は提供しない)ということであり、それならば、「端末限定の定額コース」で契約していながら、「うっかり」パソコンも含む定額コースと勘違いしてしまって100万円の請求を受ける人は引き続き発生しつづけるという事です。
なおかつ現在の3.5世代の携帯でパソコン定額を提供するの難しい状況があるため、「パソコンも含む定額コース」は超スペシャルなお客さん限定な感じの料金コースに必然的になってしまいます。つまり、ものすごく高くせざるを得ないので、提供されたとしても殆ど全ての人にとっては、「そのコースは契約できるわけがない」という感じになろうというわけです。
というわけであまり解決しないわけです。
◆ビジネスのセンスと、間違った弱者保護
記事を読んで、最初に思ったのは以下のことです。
定額コース検討っていうのは、問題認識が根本的に誤っているということでした。「ああ、この記事を書いた人は仕事が出来ないようだ」という感じでした。出来れば大半の人は同じ感想を持っていて欲しいと思います。
補足:事前にお客様にもっと親切に説明しましょうね、という日本らしい対策も、説明しても話を全然聞いていない人が少なからず居る事実がこの問題の発端の一つなので、これも十分な効果が期待できません。
で、その後、この記事が話題になっている理由を探ろうとして、これまで書いたような「書いた人の意図」を読み取りました、それがココまでの内容です。
本当はこうですね?
・お客さんは、100万円請求されるような使い方のつもりではなかったと言っている。
・こちらとの契約では、100万円請求できる契約である。
・お客さんは、契約内容が理解できなかった、理解できなくて当然である、と言っている。
こういうとき個別対応は、100万円から大幅に割り引いて支払ってもらい、「二度目はないですよ」という内容を含むものにサインさせて収拾という感じでしょうか。で、実のところ、これまではこのようにして収拾されてきたはずです。で、悪質な人には裁判所経由で全額請求。
で、根本的な対策とは何でしょう。さらに抽象化してみましょう。
・お客さんは、○○と請求されるとは思っていなかった。
・こちらとの契約では、○○と請求される契約がある。
・お客さんは、契約内容が理解できなかった、理解できなくて当然である、と言っている。
解決策は「○○と請求」される可能性を無くすする事ではありません(「記事」はどちらかというとそういうロジックです)。そうではなくて、事後に「そんなもの知らんかったから」といえないようにするべきです。
例えば、FOMAのフルブラウザはパケット定額の適用外でしたが、フルブラウザを起動すると・・・
「フルブラウザでの通信にはパケット定額が適用されませんが、よろしいでしょうか (はい)(いいえ)」
記事を見て直ぐに思ったのは、
「パソコンとの通信にはパケット定額が適用されませんが、よろしいでしょうか (はい)(いいえ)」
云々をどこかに表示して(電話機でもパソコンの画面でも)、「はい」と言わせてからでないとパケットを流さないようにすれば、この問題は解決するということでした。
あるいは、ウィルコムが既にやっているように、「うっかり接続」をしているとお客様センターから電話がかかってきて、
「お客さんは定額適用にならない方法でネット接続されていますが大丈夫でしょうか?」
という風にすればよいわけです。
客の勘違いならばトラブルを防いだ事になり(ウィルコムは親切だなあ、とも思ってもらえます)、あるいはお客から「解ってやっていますので」との言を貰えば、それによって後日間違いなく請求できるというわけです。
ツッコミを入れるとしたら、これらの対策が不十分である点についてです。課金される可能性を消滅させることではありません。
簡単な話です。
なのにどうして携帯キャリア批判になっているのでしょうか。色々な意味で情けない記事(そしてこの記事を受け入れてしまっている現状も)だと思いました。
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コメント
このような比較的単純でわかりやすい問題についてもまともな解釈が出来ないようでは、政治、経済、外交、防衛など複雑な問題について新聞は読者にまともな説明が出来るのでしょうか?
投稿: ♭ | 2007/04/25 08:59
どうもみてマスゴミがわざと携帯会社を悪者にしてるだけでしょう。
100歩譲って違ったとしても、こんな使い方をすると予想より高額な請求がきますので注意しましょうってな記事にするべき内容。
投稿: | 2007/04/26 10:58
元記事は
http://72.14.235.104/search?q=cache:KblzAMJhogIJ:www.asahi.com/national/update/0405/TKY200704050385.html+100%E4%B8%87+%E5%AE%9A%E9%A1%8D%E5%88%B6&hl=en&ct=clnk&cd=1
でしょうか?
「パケット定額制の対象から外れる携帯の使用法について、携帯電話会社はもっとわかりやすく利用者に説明するべきだ」以上の主張はしていないように書いているように見受けられます。
投稿: mo | 2007/04/26 12:42
消費者が知らなかったのは、ただ単にマスコミの怠慢ですね。
投稿: reiji abe | 2007/04/26 22:49