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834 ソフトバンクの基地局数公約は無理、かつさらに無理

忙しいとか言わずに今後はできるだけ更新するようにします。

実はこの内容の記事は何回か書きかけていたのですが,「書きかけの記事が消える」でまぼろし更新が何回か発生していました。今回は消えないで下さい。


◆ソフトバンクの基地局数

ソフトバンク決算、孫氏が携帯事業を強くアピール
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/29070.html

その解決策として、ボーダフォンの3G基地局を大幅に拡充させるとし、基地局数を年度内にも4万6,000局に増強する方針を示した。なお、ソフトバンクが示したドコモの基地局計画は年度内に4万4,000局。「基地局は一気に改善していきたい。最新のIP技術を積極的に導入し、より安い設備投資で、よりしっかりとしたカバー率を実現したい」と語った。

この記事は2006年の5月10日の記事です。
つまり2007年3月末までに、3G基地局を4万6千局まで増やすという公約なわけです。

で、どうなったのかといいますと(以下はすごく適当な数字です)
・2006年のお正月 約2万局
・この発表をしたころ 約2万2千局
・2006年の年末 約2万5千局(にはまだ到達してないらしい)

詳しく説明をするまでもなく、あと三ヶ月で4万6千局にするのはほとんど不可能だということが明らかなわけです。

さらに厳しい現実として、雪が積もる地方では冬の工事がとても難しいので、今から奇跡の頑張りを見せようとしてもそれは難しいという事情すらあります。


◆他社

では、4万4000局という(こちらも)とんでもない目標を掲げたドコモはどうなのでしょうか。
ソフトバンクはこのありさまですが、ドコモは目標を達成する(あるいは達成可能なペースで)見込みのようです。

ドコモにできるならソフトバンクにも、と思ってはいけません。

・お金が余りに余っているドコモが全力で工事をおこなっているからこその数字
・新たに大きな基地局を作るという話ではなく、細かいエリアの穴を埋める小型の基地局整備など大げさではない工事が多い

ソフトバンクは根本的にエリアカバーが足りていないので、大きな基地局をつくる段階のはずです。大きな基地局になればなるほど建設場所確保のための交渉が難しく、時間のかかるものになります。
また、「良い場所」は既に他社が基地局を建設していることが多く、その上で別の場所を探さなければなりません。

おまけにドコモが全力で工事をしているということは、工事をする業者がドコモの仕事で手一杯だということです。さらにドコモの方がお金の支払いが良いですから、ソフトバンクは工事をしてくれるところを確保する段階で大変だということになります。
AUも2Ghzの展開を進めたりしていますので、AUとも取り合いにあります。

また、耐震偽装疑惑がありましたので、建物の上に重たいものを載せるのにみんな慎重になっています(本格的な携帯基地局はかなり重たい)。かといって地面を確保してその上に鉄塔を建てて基地局を作るにはお金がかかります。いずれにしても反対運動が必ずついてまわります。


◆10万局・・・

というわけで、奇跡が起こっても公約達成は不可能そうですが、数年以内に10万局にするとも7月に言っています。

携帯電話基地2万→10万局 3G通信速度向上 ソフトバンク方針
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20169507,00.htm

とてもちゃんと考えているとは思えません。

定額騒動やCM騒動がありましたけれど、こういう言い訳の効かない部分での実績を見ていると、「おそらく、何から何まできちんと考えてなどいない」のではないかと思えてくるわけです。


◆ソフトバンクの新兵器は新兵器にあらず

以上は、以前から書こうかなと思っていた思っていたネタで、記事を書かないでいるうちにこの話を前提にしてまた新しい話が出てきました。

NEC,エリア拡張を容易にする3G携帯電話基地局システムを発表,ソフトバンクモバイルが採用済み
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061227/257850/

基地局をこれから一生懸命増やす為の秘密兵器に見えなくもありませんが、これは別に画期的なものではないのです。

まずこれは「小型基地局」ではありません。
基地局の本体から、アンテナのある部分を分離設置できるようにした基地局で、
(アンテナ+最小限の部分)=光ケーブル=(基地局本体)
というような感じで分離設置できるようにしたものです。結局本体は別のどこかの場所に設置しないといけませんし、光ケーブルの部分が普通より余分に必要になります。

「ソフトバンクの切り札の新技術」という感じで話題にされるのではないかという気がするのですが、これは他社がすでに採用済みのタイプの基地局です。
例えば、ドコモは「基地局を設置してスポット的な圏外を解消したいのだけれど、従来サイズの基地局では設置できない」ような場所に沢山設置しています。

また、このタイプの基地局は通常サイズのアンテナを立ててエリアカバーを行う場合にはあまり役に立たなかったりします。設備のそこだけ小さくしてもあまり意味がないからです。「ちょっとだけカバーして穴を埋めたい」ような場合には重宝しますが、ソフトバンクの圏外の課題はそういう段階では無いはずです。


といいましょうか、便利な新型基地局があったとして、まずは真っ先にドコモが設置しているはずです。ドコモはお金も技術も自分のコントロール下にありますから、最新鋭のものだろうと「欲しい」と言えば手に入ります。ソフトバンクにだけ便利なものがあるなんて状況はありえないわけです。
しかもNECといえば、完全にドコモ様の勢力圏内ですので、さらにありえません。

ソフトバンクは基地局の公約の話はいったいどう始末をつけるつもりなのでしょうか。

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コメント

久しぶりの更新ですね。楽しみにしていました。ソフトバンクは相変わらずデタラメですね。
ただ11月の純増数が結構良かったのが気に入らないですね。たぶんプリペイドで水増ししてるんでしょうけど。あとウィルコムの純増数が減少したのが残念です。やっぱりソフトバンクに流れたのかな。

投稿: ながとも | 2006/12/30 23:32

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