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877 次世代携帯技術の決戦場となりそうな、2.5Ghzの争奪戦

最近非常に忙しいので更新が少なくなってすみません。
どなたか、超長時間労働しなくてもお金がもらえるお仕事を紹介ください、いやマジで。

今回は、携帯電話用に新しく解放される事になっている「2.5Ghz」の電波の奪い合いが、次世代技術の決戦場のようになってきている事について書いてみたいと思います。

この記事に限りませんが、面白かったらレスポンスをください、あるいはレスポンスをつけるのが面倒ならこの記事へのリンクをお張りください。そうすればもっと詳しく書きます。書いてる本人は何が好評なのかわかってないのです・・

あ、あと間違いがあったらごめんなさい。
時間があまりないのできちんと調べたり確認したりせずに書いております、すみません。


◆帯域

2.5Ghzは「2.5ギガヘルツ」ってことで、2.5世代の事ではないのでその事をまず書いておきます。誤解するといけないですからね。

2.5Ghzは次に新しく携帯電話用に割り当てられる電波帯域です。今回記事を書くのはこれを巡っての争奪戦です。

その前にまず、既存の帯域について簡単に整理しておきます。

・800Mhz(0.8Ghz)帯
ドコモの第二世代(mova)と、AUの第三世代が使っています。
周波数の低い800Mhz帯は他の帯域に比べて非常に性質のよい電波で、言ってみれば日本においては最上級の携帯用の電波帯域です。
実際、ドコモの第二世代もAUの第三世代も、つながりやすさでは定評がありますよね?
このためソフトバンクは一時期、「800Mhz帯をヨコセ」と無理矢理役所に帯域解放を迫っていたこともありました。

・1.5Ghz帯
ボーダフォンの第二世代、ツーカー(第二世代)、そしてドコモでも少し使っている帯域です。
800Mhz帯よりも圏外になりやすかったりします。
J-Phone(当時)やツーカーがつながりにくかったのは、1.5Ghzだからという面もありました。

・1.9Ghz帯
ようするにPHSの帯域です。
そのうちウィルコムの専用帯域になります(今はドコモのPHSなども少し使っている)

・2Ghz帯
ドコモの第三世代(FOMA)と、Vodafoneの第三世代が利用しています。
FOMAが今ひとつつながりにくいのは周波数が高いからでもあります。
AUは、第二世代を早々に停派してしまったお陰で贅沢にも800Mhz帯で第三世代を行えているので、音声は電波の質のよい800Mhzで行って、2Ghz帯を3.5世代(つまりデータ通信の高速大容量化)などに使う予定です。
わかるとおりとにかくAUが有利な状況です。

・1.7Ghz帯
新規参入の携帯キャリア(と既存携帯会社の追加用)の為に用意され、争奪戦の終わった帯域です。
新規参入のイーアクセスとソフトバンクが手に入れた帯域です。
しかし、ソフトバンクはボーダフォンの買収を始めてしまったので、返上されるかもしれません。

・2Ghzあたり(正確な周波数忘れたすみません)のTDD用帯域
TD-CDMA用に用意されている帯域があり、ここはアイピーモバイルが手に入れました。
データ通信中心にサービスインする予定らしいですが、TD-CDMA系は良い点もありながら難しい技術のようで、しかもCDMA2000陣営やW-CDMA陣営は3.5世代を通過してさらに先へと進みつつあるので、なかなか厳しいでありましょう。


さて、ここまでが今までに使われているか、すでに割当が決まっている帯域です。


◆2.5Ghz

そして、次に空く予定なのが2.5Ghzの帯域です。周波数はちょっと高いので電波は扱いにくいと思われます。
この帯域は、非常に簡単に言うと「次世代『高速』通信に解放します」と国が言っております。

つまり、この帯域に普通の第三世代で参入しようとしてもダメだという事です。

で、ここに名乗りをあげているところなのですが、これが見事に・・・これから次世代で激突するであろう面子が勢ぞろいしているのです!

まず、

・WiMAX(IEEE802.16)
KDDIは「次世代」として、無線LANの進化系のような存在のWiMAXの試験を行ってきています。
今のところ(まだ「事前」の評判である事には要注意ですが)、世界で次世代の第一候補な感じのする「WiMAX」です。
AUは今の第三世代とシームレスに組み合わせて利用する事を考えているようです。つまり、速度を出したいときにはWiMAX、通信の安定を図りたい時にはCDMAという感じにです。


・次世代PHS(ウィルコム独自)
ウィルコムが自前で開発中の第四世代技術です。
詳細は良く知りませんが、PHSをOFDMで束ねたもの、なんというかPHSと第四世代の合体のような技術であると聞いています。
目標としては既存のPHS基地局あるいは基地局設置場所をそのまま利用できるようにする事と、最高速度ではなく、沢山の人が使う実際の利用状況においても高い実効転送速度を出せるようにしたいようです。
つまり、ウィルコムの現在の戦略の長所をそのまま生かす技術を作ろうとしているのです。

心配なのは自前の技術だという事です、次世代通信技術とは一社で開発できる程度のものなのかが心配ではあります。しかし、もし成功すれば他の技術と違って「ウィルコム自身がウィルコムの事情に最大限マッチした技術として開発」するわけですから、システム全体として非常によいものになるかもしれません。
個人的には一社で開発している事が不安に見えますが、可能性としては「ウィルコムが開発に成功→日本で大成功→それを見た世界中が採用→第四世代の覇者に」なんてことも考えられなくはありません。


・iBurst(IEEE802.20)
以前の記事で説明したiBurstです。技術的にはなんと第二世代に属する枯れた技術ながら性能は高く、この話にも候補として登場している次第です。詳しいところは私の過去の記事を参照ください。
iBurstは京セラの技術(国内の技術)であり、開発中に過ぎないほかの技術と違い「すでにサービスインしている」という大きなリードがあります。絵に描いた餅ではないのです。

WiMAXは「IEEE802.16」で、WiMAXのモバイル版(モバイルWiMAX)は「IEEE802.16e」という規格です。今のところ世界の空気としては次世代はWiMAXなんじゃないかという感じなわけですが(ただし、無責任なマスコミ中心の空気ではあります)、このモバイルWiMAXと規格上完全なライバル関係にあるのが「IEEE802.20」です。

もしかして次世代PHSが上手くゆかない場合にはウィルコムが改良して採用する可能性もあります(そのままではウィルコムの要望に会わない)。京セラはウィルコムの株主ですし。
そういう意味では「失敗してもウィルコムには保険がすでにある」とも言えます。ウィルコムは実は有利かもしれません。


・クアルコムの新技術(IEEE802.20)
IEEE802.20にはクアルコムの提案と京セラの提案が受け入れられました。こちらはiBurstではない方のIEEE802.20になります。
クアルコムとは現在第三世代で圧倒的リードをつけている「CDMA2000」、つまりAUの技術を開発しているアメリカの会社です。

そのクアルコムが第四世代として開発している技術が(そうなんです、まだ開発中です)日本の2.5Ghzの争奪戦に登場する可能性があります。というのもクアルコムが日本企業に「クアルコムの技術を使って参入を戦ってくれるところ募集」なんてことを言っているらしいからです(しかしこれまでの三つに比べると候補としては一段落ちます)


他にも世界中で沢山の会社がOFDM系(第四世代系)の通信技術を開発しています。とりあえずこれら有象無象は今回は出る幕無しです。
以前ここで記事にしたように、ドコモも独自技術開発を進めていて、技術の限界を突き詰めるようなすごいことをしています。しかし、逆にいえばもっと将来に向けた状態で、実用化には遠い状態にあるとも言えますので、2.5Ghzの争奪戦には参加できない、あるいは参加すべきではない(まだ開発できていない)と言えるでしょう。


◆揃い踏み

見ていただければ解るように、次世代の有力候補が勢揃いしている状態です。
世界的レベルには順当な次世代候補WiMAX、ウィルコムが自ら手がける次世代PHS、モバイルWiMAXの敵として登場したIEEE802.20にして実績で一歩リードしているiBurst。

どれが勝っても不思議はありません。帯域は一社だけに与えるわけではないかもしれませんから、もしかしたらこの三つの規格が全て採用され、サービスインの後に実際のサービス品質で熾烈な競争が行われるかもしれません。

そうなれば、日本の2.5Ghz帯は世界が注目する「次世代技術の闘技場」という感じになるかもしれません。


そのうちはじまるであろうHSDPAとEV-DO Rev.Aの戦いや、ウィルコムの高度化PHSと3.5世代携帯の戦いも面白いですが、もしかするとその後にはもっと面白い戦いが待っているかもしれません。


三つの規格の戦いは見たい気もしますし、細切れにせずに一つの方式に帯域を全部提供する方が電波の利用効率は高いのではないか(=サービスが良くなる)という気もしますから、国がどう判断するかも興味のあるところです。

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コメント

2.5Ghz帯域で提供される高速サービス通信は,非常に興味があります。本日の記事はとても興味深く読ませていただきました。この点に関して,さらに興味があるのが,電波がどの事業者に割り当てられるのかという点です。確か,75Mhz分(うろ覚えですが)提供されるので,実質3社程度になるといわれています。しかし,割当を希望する会社は,3社ではすまないので,割当を巡って,バトルが予想されます。日本は電波のオークションはやらないので,どのような基準で割り当てられるのか,非常に興味深いところです。
モバイルWiMAXですが,最新号の日経コミュニケーションによれば,まだ,ハンドオーバーの規格も確定していないようなので,実際にものになるのは,まだまだ時間がかかるのではないかと危惧しています。2.5Ghzでのサービスインは2008年程度といわれていますが,それまでに間に合うかどうか。
お隣の韓国ではWiBroが今年中にサービスインしそうですが,WiBroとモバイルWiMAXの関係がよくわかりません。最新号の日経コミュニケーションによればはWiBroとモバイルWiMAXは同じものだと韓国側では主張しているそうですが,全く同じ規格ではないわけで,実際どの程度類似性があるのでしょうか。また,WiBroはすでに,形となっているサービスですが,モバイルWiMAXの製品が普及し出すと,韓国ドメスティックな規格で終わってしまう可能性もあると思います。また,モバイルWiMAXの開発が手間取るようなことがあれば,逆にWiBroがダークホースとして,登場する可能性もありますね。
高速データ通信については非常に興味があるので,今後も記事を楽しみにしています。

投稿: すやま | 2006/03/18 09:00

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