« 886 平井賢にヘリウムを吸わせると一青窈になるのだろうか | トップページ | 884 全力でカレーな家 »

885 「ドコモが第四世代の実験で、2.5Gbpsを出した」が凄いけれど凄くないけれど凄い事について

ドコモが、第四世代の実験でとんでもない速度を出しましたというニュースが流れている事について、ちょっと記事を書いてみたいと思います。

NTTドコモ、第4世代移動通信システムの実験で2.5Gbps伝送に成功
http://k-tai.ascii24.com/k-tai/news/2006/02/24/660754-000.html

第4世代移動通信システムの実験で2.5Gbps伝送に成功、NTTドコモ
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/it/423177


凄い事を成し遂げた事には間違いないことで、ドコモの技術者の努力が実って国産の技術が世界標準になれば良いなあ、と思ったりしました。

しかし(いつもの事ながら)、メディアでの扱いがインフレしているので、そのあたりをちょっと説明してみようと思いました。


◆2.5Gbpsの意味

2.5Gbpsというのは、「2500メガ」ということです。
昨今の携帯電話の話題は一メガの前後での話題ですから、2500メガというのはまさしく違う世界の数値です。

「現在の携帯の6500倍の高速通信」なんて見出しをつけたニュースもあるそうです。
6500倍・・っていうと384Kbpsでしょうか。「パケホーダイ」と比較していますね。


以前、同じように?HSDPAについて「直感的に思えるほどは凄くない」という記事を書いた
(→904 Docomoが、PCでのデータ通信定額を実現することが難しい理由
http://firstlight.cocolog-nifty.com/firstlight/2006/01/904_docomopc_a8fe.html
ので同じ感じでこれがどれくらい凄いか説明してみたいと思います。
#上記記事を読んでいない人は先に読んでいただけると幸いです。

まず、HSDPAの記事を踏まえると気になるのは、
・一人あたりの速度?全員での速度?
・実際の利用環境でどのくらい速度が出るの?
・帯域は?
というあたりだと思います。

(以下このあたりについて考えてみますが、「それほど詳しくも無い私がニュース読んだだけで思いつきで書いただけ」ということは頭においてお読みください、間違いがあったらごめんなさい)


まず、速度は「全員で共有」です。まあ仕方のない事というか当然ではありますが。

次に利用する電波の幅ですが、なんと「100Mhz」です。
いえいえタイプミスではありません、100Mhzです。

FOMA(HSDPA)の5MhzでもAUと比べると大食らいなわけですが、それをはるかに超える100Mhzです。
そこで、比較のために(計算上)利用する周波数で割ってみてHSDPAと揃えてみますと、
・100Mhzで2500Mbps
→10Mhzで250Mbps
→5Mhzで125Mbps

HSDPAは14.4Mbpsですから、「およそ8.6倍」ということになります。
8.6倍というのは凄いのですが、6500倍という表現はあまりに大げさである事がわかります。
#念のために書いておきますが、「5Mhzで125Mbps」はかなりの高効率で、ドコモはすごいということです。


次に実際に「どの程度速度が出そうか」ですが実験をやっている段階に過ぎないのでよくは解らないわけですが、やっぱり理論値と実測値は大きく差が出そうです。以下、話の信憑性がどんどん怪しくなります。

まず64QAMという電波状態が極めてよい状態で無いとベストが出せない通信方式を用いています。
ちなみにEV-DOやHSDPAの理論速度が出ないのも電波状態が良くないと64QAMが使えないからです。
ウィルコムが今やっている高速化の終点も「64QAM」になっています。64QAM化するころにはウィルコムも一メガ超えだと思われます、ちなみに今はQPSK(4QAM)→8PSK(8QAM)をやっているところ。
つまり、64QAMっていうのは「これ以上は逆効果っぽい」というようなギリギリの感じなので。


また、今回は実験とは言え、試作した通信機は途方も無い消費電力になっているようです、おそらく「電車の車両並み」(キロワット単位)のとんでもない消費電力ではないかと思われます。
そのうち技術の進歩で消費電力の問題は解決するということになっていますが、逆にいえばまだまだこれから努力しなきゃならないという事です。

また、MIMOという何本もの複数のアンテナ(今回は六本)を使って通信する方式を用いているのですが、携帯電話に複数のアンテナを載せる事なんて困難なわけです。しかも、単に沢山載せるだけではダメで「お互いが個性を発揮するように」空間的にいろいろ離さなきゃなりませんが、携帯電話にはかなり難しい話です。

また電波としての出力が30Wもあります。上記の莫大な消費電力の大半は信号処理に由来するもの(=工夫次第)ではありますが、電波の出力に由来する部分の消費電力は削れません。
電波として30Wを出すためには、おそらく全体では10倍以上の電力になることは避けられないと思うので・・・300W以上とかの世界になると思います。
この消費電力はもはやストーブの世界ですし、300W程度って言えば「爆熱プレスコットマシン全力稼動」の消費電力のあたりでもあります。そんな熱を出す装置を手のひらにおさめることは出来ません。


◆まだ実験している段階なので

もちろん、まだ実験をしている段階で実用化を目指している段階ではありませんから、問題点アリアリなのはしょうがないというかごく自然な事ではあります。
実際に電話機にするにあたって、これからいろんな事を工夫したり妥協したり諦めたりしながら、上記の問題点などを解消してゆくのでしょう。

ニュースでは「四年後に実用化を目指す」とかありますが、四年後は難しいような気もします。しかし、次世代の標準化ではがんばっていただきたいと思っています。未来技術で正面突破を図るタイプの「次世代」は日本ではドコモしか開発していないと思うからです。


とりあえず、6500倍は言いすぎで、8~9倍くらいということですね。

|

« 886 平井賢にヘリウムを吸わせると一青窈になるのだろうか | トップページ | 884 全力でカレーな家 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41683/8834447

この記事へのトラックバック一覧です: 885 「ドコモが第四世代の実験で、2.5Gbpsを出した」が凄いけれど凄くないけれど凄い事について:

« 886 平井賢にヘリウムを吸わせると一青窈になるのだろうか | トップページ | 884 全力でカレーな家 »