« 925 長い前置きのあと / 「っぽく」ならないこと | トップページ | 923 WILLCOM新機種群のメモ »

924 「Web2.0」は「ITバブル2.0」

Web2.0は一言で言い尽くすことが出来ましょう。

「Web2.0とは、ITバブル2.0のこと」

「ITバブル2.0」の呼び名は以前に自分で考えたものです。
(おそらく世界中で同じことを考えた人は沢山居るに違いないでしょうが)

「Web2.0は結局なんだかよく解らない」
「Web2.0はなんか怪しいのでは?」

直感的にそう思っている人、おそらくあなたは間違っていない、そう思います。

「Web2.0」って聞いた事もないよ、という人へ:
むしろ何も知らないままで困らないと思いますので、この記事は以降気にしなくていいです。


◆Web2.0はWeb2.0を理解していない人間が使う

完全なインチキならば話はすぐ終わるのですが、
若干話が難しいのは、Web2.0は完全なインチキではないというところです。
そのおかげで話がややこしくなります。
(ややこしい話を読むのが面倒な人は「ほぼインチキ」という理解で当面問題ないと思いますので、それでどうぞ)

「ITバブル2.0」という呼称を考えたので、「ITバブル」で説明してみましょう。
ITバブルが一体どうなったかは説明するまでも無い事ですが、しかしITバブルも全てインチキだったわけでもありません。

ドットコムバブルの教訓:

バラバラだったはずのモノがつながります、確かにつながりました。便利にはなりました。しかしつながる前に大騒ぎしていた連中の言っていた事は妄想だと同時に解りました・・・・

不必要なバズワードはあらぬ妄想をも引きつけて不自然な熱狂をもたらし、その後に必要以上の落胆を招く。

(この文章は私が書いたものです)

同様に、Web2.0は完全なインチキではないゆえにある程度の説得力があります。
たしかにWeb2.0が言わんとする先には何かは存在する、と私も思います。しかし、Web2.0で騒いでいる大半の人たちの先には何も無く、彼らが不自然に騒ぐがゆえに、他の「まともな分野」までバブルの終焉の巻き添えを食うような気もします。

「この先に何も無いわけではないが、かといってこの騒動は怪しい」という何ともいえない複雑な感情は、Web2.0の技術的な輪郭を理解している人には共通の認識で、あらためて説明するまでも無い事かもしれません。

実際、技術を解っているはずの人ほど「Web2.0」について敢えて何も語っていないように思えます。解っているだけに語る事が難しいのでしょう。

騒動を支持して良いとは思えないし、かといって全部がインチキだというわけでもない。Web2.0は面倒な話題だと思います。

『Web2.0』…… そんな言葉で騒ぐ必要はねーんだ。 なぜなら、その言葉を頭の中できちんと理解した時には! 実際にその言葉を使う価値はもうすでに終わってるからだ! だから使った事がねェーッ! 『Web2.0バブル』なら使ってもいいッ! (元ネタ:ジョジョの奇妙な冒険)

◆翻訳しただけ?

「Web2.0」について調べると、
- 解らないけれど流行っているらしいと聞いた
- 解っていないのに、なぜか熱狂している人
- 「前向きに考え病」の人が、Web2.0を「前向き話題」として「前向き」に支持中。
- 「Web2.0」の「大本営発表の未来予定」を土台に空中でビジネスビジネスと言っている人
が、大量に見つかります。
ちゃんと理解していて支持している人がとても少ないのが特徴です。
(土台まで理解していると思いこんでいる「ビジネス」系の人は居るようですが)

実務・研究の方々からは現在のところほぼ黙殺されているようです。「また誰かが変な事言い出したよ」-そんな感じです。


ITバブルの時と似ています。
- 実はほとんど解っていないのに熱狂する人たち(あるいは「解っていないから」熱狂)
- 未来はこうなるはずだと空中に宮殿を建て始める「ITのビジネス」を語る人たち

加えて、
- アメリカの最新流行だというだけの理由で日本に無条件輸入する人たち
- アメリカの記事(やブログ)を右から左に翻訳するだけで、それをあたかも自分の意見であるかのようにしてオピニオンリーダーの風をする人

「あなたのビジョンは古いです、それはWeb1.0の世界ですね。これからはWeb2.0的にビジネスを思考しないといけません」-借り物の権威で物事を上から見下ろすのは気分が良いかもしれません。

しかし英語で書いてるからって全部正しいわけではありません。
アメリカ(の一部)で「盛り上がってるから」という事実は、(日本において)「正しい将来理解」である根拠にはなりません。ましてや、それを「翻訳」しただけの人の正しさの根拠にはなりません。


最後に念のために書いておきますが、確かにWeb2.0が言わんとする先には何も存在しない、ことは無いと思います、しかし「Web2.0の妄想」を担保できるようなものは無いはずです。
騒動に同調せず、Web2.0の看板を掲げずに静かに考えるべきではないでしょうか。無責任なバブルに付き合う必要は無い、と思います。

とりあえず、
- 「Web2.0」と「ビジネス何とか」の専門用語が両方出てくる文書は内容的に危うい可能性が最も高い
- 高尚な概念だからなんとなくな理解しかできないのではなく、最初からあやふやな内容の主張だからそうなるだけ。だから、そういう理由で「奥が深いんだろうな」と思ってはいけない。あなたの理解力の問題ではない。最初からそうなのだから。
- 非常に大まかに言って、具体的な知識というより思想に近い形で熱狂の対象になっています。そして、それゆえ面倒です。
- 当面は「Web2.0」について何も理解しようとしなくても多分困らないので、面倒だったら完全無視で大丈夫だと思います。中途半端に信奉してしまい信奉者の夢遊病にかかるのが一番割に合わないとおもいます。


ましてや外野の普通の人間にとっては積極的に関っても仕方の無い話題なので、メディアが騒ごうが「怪しいものは怪しいのだ」という態度で遠巻きに眺めているのが多分正しいのではないかな、と思います。

「Web2.0ってなんのことか結局解らない」そう思ったあなたの直感は割と正しい、ということです。
解らないままで大丈夫。

|

« 925 長い前置きのあと / 「っぽく」ならないこと | トップページ | 923 WILLCOM新機種群のメモ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 924 「Web2.0」は「ITバブル2.0」:

« 925 長い前置きのあと / 「っぽく」ならないこと | トップページ | 923 WILLCOM新機種群のメモ »