978 携帯業界の未来:auはどのようにツーカーを吸収するか
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auが『シンプルケータイ』を発売
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auでも通話専用携帯を発売
auが通話専用の携帯電話、つまり『ツーカーS』のような電話機を発売する模様です。
端末の発売メーカーも『ツーカーS』と同じく『京セラ』。
このことは一見どうでも良いように思えるかもしれませんが、事態を理解すると結構考えることがあることが解ると思いますので、状況などを説明してみたいと思います。
ツーカーの不安定な状況
その昔には携帯電話は全国サービスではなく、地方地方でばらばらの会社でサービスがされていて(ドコモも「ドコモの地方会社のグループ」)、関東だけの会社(IDOとか)関西だけの会社もあった。
もちろんそのような中途半端な状況は不自然であり、当然のように後に再編が起こって、現在知られるよな携帯電話三社体制(ドコモ、KDDI、J-Phone→Vodafone)の体制になった。
細かい事情はめんどくさい(し、実のところきちんと理解していない)ので書きませんが、このとき大人の事情でうまく再編されなかった企業があって、それがツーカー。
ツーカーは資本的にはKDDIでAUと同じところにいますが、再編のごたごたの結果としてツーカーは東名阪(東京・名古屋・大阪の周辺)でしか自前の施設を持っておらず、全国サービスを自前で提供する能力がありません。
他の地方では他の会社の施設を借りて電話できるようにする(ローミング)必要があり、その相手としては資本関係的にはAUが自然なのですが、ツーカーは技術的には「ボーダフォンの第二世代携帯」と同一であるため、KDDIグループであるにもかかわらず、東名阪以外では「ボーダフォン」の施設(電波)を借りています。
実のところ、再編で会社がくっついたりはなれたりするときに、施設的にはJ-Phone(現在のボーダフォン)の一部として再編されるのが自然なツーカーだったのに大人の事情でいっしょにならず、しかしながら施設的にはやはりJ-Phoneとしかローミングしようが無いという、股裂きの状態が続いています。
その後
ご存知のとおり、ツーカーはかなり前から不調でした。
KDDIとしてはAUが主力なので、ツーカーは売却して処分してしまいたい会社でした。
しかし、東名阪だけではなかなか買ってくれるところはありません。そして施設的にはもっとも自然な売却相手たるJ-Phoneなりボーダフォンは「熾烈な二位競争」を繰り広げている仇敵であり、わざわざ敵にツーカーを売却(=ツーカーの契約者数が相手に加算される)して自分の二位を危うくしても仕方が無いため、これも実現しません。
そうこうしているうちに、気がついたら今日にいたってしまったのが現状です。
AUに吸収されることに
最後には携帯参入を目論むソフトバンクが「ツーカーを5000億で買いたい」と言いましたが、値段が安すぎた点と、新規参入を目論む将来の敵に売却するのは問題があるということでこれも却下され。
結局はAUに吸収されることになってしまいました。
問題はこれから。AUにどのように吸収されるのか。
ツーカーはこれまでいろんなことをしますが(松本人志が出てたりしましたね)最後の最後になってとうとう「ツーカーS」でヒットを当てることに成功します。ツーカーSで何年ぶりかわからないほどの契約者増加を果たしました。
問題は高級なイメージで売っているAUが、プリペイドやツーカーSなどのツーカーの路線とかなり違うこと。
何も考えずにくっつけてしまうと、せっかくのブランドが台無しになり、顧客が他社にとられたりするかもしれません。特に、現在ツーカーが獲得している顧客が他に流出してしまう危険があります。
そういう事情があるため、吸収後もプリペイドやツーカーSなどではツーカーブランドを継続してブランドの住み分けをするのではないか、などと観測されていました。
実際どうなのか
ですが、AUがまるでツーカーSのような電話機を出してしまいました。
1.ツーカーを完全吸収する前兆
2.ツーカーSの対象層には、ツーカーSが高級ではないと思って敬遠する顧客が居て、これは「高級ツーカーS」である。
3.じつは全体戦略など考えられずに作ってしまった商品で、戦略上の足並みの乱れが出てしまった商品。
実際どうだとおもわれますか?>皆さん
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